合乗

2001年12月1日 / 役に立たない韓国語

 私はまだ韓国に行ったことが無いのだが、韓国のタクシーに乗ると凄いカルチャーショックに陥るという。
 「もしかしたら世界で一番、車の運転が上手いのは韓国人かも知れない」とおっしゃられる先生もいるにはいるが、早い話が運転が乱暴らしいのだ(^_^ゞ

 飛行機の出発予定時間を勘違いしてしまい、あと一時間以内に空港に行かないと間に合わないという状況だった。
 慌てた彼は、タクシーの運チャンに「倍の料金を払うから、一時間以内に空港まで行ってくれ!」と頼んだ。
 すると、そのタクシーは神風のごとく飛ばしに飛ばしまくり、通常1時間以上かかる道のりを20分以上残して到着してしまったそうだ。

 貴方も韓国に行ってタクシーに乗ったら、ちょっとしたジェットコースターの気分を味わえるかも知れない。
 もっとも観光客相手に回り道して法外な料金を取ったりする「悪徳タクシー」も多いらしいので注意が必要だ。
 韓国のタクシーの中には「料金は割り増しだが、ぼったくらないし安全運転をします」という「模範タクシー」という物も有るらしいので、初心者はそちらに乗ったほうが良いかも知れない。

 日本と韓国のタクシーの大きな違いがもう一つある。
 それは「相乗り」という制度だ。(※ 現在韓国で相乗りは行われていないそうです)

합승 hab-seung 漢字語:「合乗」=「相乗り」

 つまり最初の乗客が目的地へ行く途中でも、タクシー待ちをしているお客を見つけたら、一旦止まって行く方向を聞く。
 そして方向が同じならば乗せてしまい、最後に料金を折半するというもの。
 非常に合理的だし、赤の他人も嫌がらないという韓国の文化的背景から来ているものだと思う。
 ただ「悪徳タクシー」に引っ掛かると、相乗りをした客が途中で降りてお金を貰ったにも関わらず、その人の料金も含めて料金を請求されることがあるらしいので、やはり交渉が出来るくらいの会話は必要だろうと思う。

 ちょっと「サンチョンポに陥る(横道にそれる)」かもしれないのだが「相乗り」にまつわる笑い話がある。
 教科書に「下宿を借りる」という話があって、それに関連する単語が色々出てきた。
 一人部屋を「独房」という漢字を使って表現するのだが、それじゃルームメイトを誘って、二人以上で住みたい時は何というのかと質問した。
 ところが先生もこれといって言葉が浮かんでこないという。
 その時ふと「合乗」=「相乗り」を思い出したわけである。
 上にかいた通り、「相乗り」とは漢字の言葉だから・・・

 私は何の疑問も持たず、一人部屋が「独房」なのだから「合房」というのではないかと提案してみたところ、その先生は思わず笑いだしてしまった。

 実は「合房」という言葉は存在していたのだ。
 だがニュアンスは全く違う。
 結婚した夫婦が初めて部屋を同じにすることを「合房」と言うそうだ。
(つまり初夜のことですね(^_^ゞ)

 今の学校は圧倒的に女性が少ないし、この話を聞いたときも女性が部屋にいなかったので先生も話しやすかったと思う。
 ちなみに悪いことをして警務所に入って、一人で幽閉される部屋のことも「独房」というし、漢字語の同音異義語は前後の関係を推量しないととんでもないことになってしまうだろう。

<01/08/21>

補足

 つい最近教えていただいたことなのだが、韓国で「相乗り」はすでに出来なくなっているそうだ。
 その理由は、赤の他人と同乗するのが煩わしいからということと、方向が同じだと言っても、途中で降りる人が路地に入って自宅の前まで行きたい時など、料金の折半が面倒くさいからということらしい。
 また、タクシーの運チャンの給料が歩合制で無かったころは、一定の金額を会社に納めれば良かったらしく、運チャンの裁量で融通を利かすことも出来たものの、韓国のタクシー業界も経営が非常に厳しいらしく、相乗りさせて料金を安くしてしまわないように、始めから相乗りが出来ないと言っているらしい。

<01/12/01>

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