タコ

2006年1月17日 / 役に立たない韓国語

私の勤める会社は、良くも悪くも色々な人間がいる。
中には、新人に意地悪な質問をする先輩もいたりするのだが、当然若い子は答えられない。
するとその先輩…

先輩「ったく!お前、ほんと何も知らないんだな!イカ!!」
新人「…タコって言われた事は有りますが、イカって言われたのは初めてです(??)」

日本語の悪口には、韓国語のように動物を使った悪口はほとんどないと思っていたのだが「タコ」って言う奴が有りました(^^;
これを韓国語に直すとなると、定番の「犬」になるのでしょうけど。

さて、韓国語でタコをなんと言うかご存知だろうか?
もちろん、韓国語を勉強した事の有る人、韓国料理が好きな人なら聞いた事がある単語かも知れない。
まず、頭に浮かぶのが

 nag-jji:タコ(真タコ/飯蛸?)

だろうか。
韓国料理と言うと「石焼ビビンパ」とか「焼き肉」の方が知名度が有るけど、海鮮料理も有名だ。
その料理の中に「サンナッチ」という、蛸の刺身のような料理が有る。

 san-nag-jji

手のひら大のたこの足をぶつ切りにして、胡麻油と塩を付けただけのシンプルな料理だ。
この料理はが出て来たら、直ぐに食べ始めなければならない。
なぜなら、たこの足はまだ生きていて、お皿から逃げ出したりするのだ(^^;
当然、吸盤も生きていて、箸でつまもうとしてもお皿にぴったりくっ付いて離れなかったり、口の中に吸い付いたりと、初めて食べる人は面食らうだろう。
このタコには「タウリン」というとてもスタミナがつく栄養素が含まれているそうだ。(ファイト一発!で有名なドリンク剤にも入っていますよね)

「サンナッチ」の「san(タコという単語の前についているハングル)」とは、おそらく「生きている」という意味の単語「sal-da」の連体形で「生きているタコ」という意味だと思う。(間違っていたら指摘して下さいm(_ _)m)

 sal-da:生きる・住む→+名詞=生きている[タコ]・住んでいる[家]等

まさに生きているタコという料理名がぴったりだと思う。
機会があったら、是非ご賞味あれ。

———

さて、随分前の話しになってしまったのだけど、読者の方から「タコ」に関する投稿が有った。
韓国語クロスワードパズルをやっていたら、タコと思われる質問が有ったので「nag-jji」を当てはめてみたところ、他の答えとつながらないと言うのだ。
この事をネイティブの方に聞いてみたところ「タコと言う単語は一つではない」と教わったと言う。
その時の「タコ」は

 mun-eo:文魚=水蛸(みずだこ)

だったそうだ。
一口に蛸と言っても生息地や大きさなど様々な種類があるのは当然だが、蛸に関してはもう一つ単語が有る。

 jju-ggu-mi:蛸

上の「jju-ggu-mi」は辞書を調べても出て来なかったので、日本語でなんと言う蛸であるか見当がつかないものの、食用蛸を扱う韓国のWebPageにはこのような説明が書いてあった。

 nag-jji:ナッチは足が頭に比べ5倍以上長い

 mun-eo・ jju-ggu-mi:文蛸・チュックミは足が頭に比べて2倍以下であり、硬く(歯ごたえが有る硬さ)、淡白な味でない。

何だか専門的すぎて混乱する一方だ。
授業中、ネイティブの先生に「蛸に該当する単語が3つある」と言ったところ、「ナッチ」と「文魚」はすぐ出て来たが「チュックミ」は一般的ではないらしく、思い当たらないとおっしゃっていたので、とりあえずタコにあたる単語は「ナッチ」と「文魚」の二つを覚えておけば良いと言う事だろう。

ちなみに「イカ」に当たる単語は

 o-jing-eo:イカ

である。
あれ?イカと言う単語の最後にも「eo」というハングルが着いているではないか!

また、魚とは全く違う動物である「鰐(ワニ)」を韓国語で

 ag-eo:鰐魚=ワニ

と言う。

辞書を見ると、イカという単語はすべて固有語らしいのだが、もしかすると韓国人の認識として「水中生物」=「(魚)」というものが有るのだろうか…なんて考えてみたりする。

最後におまけ。
蛸やイカの墨は、日本語と同じく「墨汁」を意味する単語で良いらしい。

 meog-mul:墨汁

<06/01/17>

補足

 ag-eo:鰐魚=ワニ

を付け加えました。
この他にも水の中に住む動物で「魚」と言う字が付きながら、魚類ではない動物は沢山いると思います。

<06/01/22>

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