字幕が入ったDVDを作ろう
■ リージョンフリーの「我的野蠻女友」
先日、オークションで「猟奇的な彼女」のDVDを落札した。
この韓国映画のDVDは、すでに持っていたのだが、とある事情からどうしても入手したくなったのだ。
一つ目は、初期の入札価格が非常に値段が安かった事。
二つ目は、このDVDがリージョンフリーだったからだ。
以前購入した「猟奇的な彼女」は、韓国から輸入したもので、リージョン(地域コード)が3(日本は2)のため、日本で売られているほとんどのDVDプレイヤーでは再生が出来ない。
そのため、私はパソコンの改造(ってほど大げさなものではないが)を行い、やっとの事でこの作品を楽しむ事が出来るようになったのだ。
日本でもこの映画は平成15年1月から公開されていて、そこそこ好評のようで、私のまわりの人でも興味を持っている人が結構いた。
そんな時私は「へへへ!私はもう、DVD持っていますよ!」と自慢をする時も有るのだが、「ほんと!それじゃ貸してよ!」と言われるとつらい。
何度も書いているけど、私のまわりの人でこのDVDを再生できる装置を持っている人は皆無なのだ。
そんな時、オークションで「韓国超人氣の映画「我的野蠻女友」」と言うDVDタイトルを見つけた。
よくよくオークションに出品された写真を見ると、間違いなく「猟奇的な彼女」なのだが、なぜタイトルが漢字なの?
実はこのDVDビデオ、「中国(香港)製」なのだ。
そこで私は考えた。
もしかして、これってリージョンフリーじゃないのかって(^^;
一か八かで落札し、プレステ2で再生して見たところ、見事に再生できた!
よし!これで皆に「猟奇的彼女」の楽しさを知ってもらえる事が出来るぞ!と思った。
そっか・・・でも結局日本語字幕は入っていなかったんだっけ(-“-)
たとえリージョンフリーのDVDプレイヤーを持っていたとしても、話の内容が分からないと興味も半減してしまうだろう。
私の「韓国映画普及活動」は次のステップを踏む事になった。
■ 自分で字幕を入れてしまえ!
法律的にはいろいろ問題が多いだろうが、私はとにかく日本語字幕が入った「猟奇的な彼女」を作りたくなったのだ。
そのためには何が必要か?
DVDの内容を改ざんする事が出来るだろうか?
そもそもDVDと言うのはコピープロテクトが掛かっていて、たとえ映像ファイルをコピーしたところで、まともに再生すら出来ないのではなかったか?
ネットを検索したところ、「リッピング」という単語が出てきた。
どうやらDVDにかけられているプロテクトを解除し、内容を加工できるように出来ると言うではないか!
最近、DVDを作る事の出来る装置は、取り扱えるメディアの種別から、大きく分けて下記の3種類がある。
DVD-RAM
DVD-R/RW
DVD+R/RW
最近パソコン雑誌を見ると、どの規格が一番良いか?という、熱いバトルが展開されているが、結局のところ、どれもまだ発展途上の世界だ。
弟がすでにDVD+R/RWを所有していたため、私は「DVD-R/RW」を購入した(約弐萬八千円也)。
どうせ、数年後にはもっと速くDVDを焼く事の出来るドライブが、ばかみたいに安く売られるようになるのは分かり切っていたのだが、最近まで5万円近くしていたドライブが、編集ソフト付きでこの値段なのは納得できる。
時代を先取りするには先行投資が必要なのだ(^^;
■ 字幕を入れよう!
さて、以下は市販のDVDビデオを元に、字幕付きのDVDを作成するための手順である。
法律的にやばい部分も結構有りそうだし、とりあえず手順だけ羅列する事にする。
1 ソフトウエアーを利用し、DVDのデータに掛けられているプロテクトを外して、パソコンにデータをコピーする。
DVDビデオをパソコンでのぞいて見ると、映像ファイルらしいものがすぐ見つかる。
ところが、これにはプロテクトが掛かっていて、普通にHDにコピーしても、再生できない。
これを可能にするためには、DVDに掛けられているプロテクトを外しつつ、HDにコピーするツールが必要だ。
ところが、このツールはネット上に、無料でばらまかれている。
「リッピング」というキーワードで検索するとかなりヒットするので、そちらを参考にしてもらいたい。
プロテクトと言う鍵が掛かっている物を、外すと言うこと自体、非常に黒に近い灰色行為だが・・・
現実に、このプロテクトを外すソフトを開発した人間に対し、訴訟が行われているし、このツールソフト自体を配付してはならないと言う動きも出てきているようだ。
さて、DVDのプロテクトを外し、データをコピーする作業は、結構簡単に終わる。
二時間の映画が20分足らずでHDにコピーされてしまった。
HDの空き容量に注意!
2時間の映画だと、少なくともHDの空き容量は9GB以上必要だ。
2 コピーしたデータをパソコンで再加工できるようタイプの映像データに変換する。
これも、Internetに散らばっているツールを利用する。
当然「無料だ」(^^;
ちなみに、1の作業で抽出されたデータは、紛れもないDVDその物のデータ(MPEG2)なのだが、映像編集ソフトでは直接加工が出来ないため、一度再加工する必要が有る。
通常、この時点で画質を落とすとか、画面の大きさを小さくするなどして、データの縮小をするのが普通らしい。
だが、できるだけ画質を落とさないようにしたかったので、とりあえず一番画質が荒れないフォーマットを選択して、加工して見た。
この変換作業はパソコン任せであるが、映画の長さの数倍の時間が必要だったため、ベストと言えるフォーマットを見つけるまでには至らなかった。
3 ビデオ編集ソフトで字幕(テロップ)を入れる。
さて、やっとのことで本題にたどり着いた。
韓国語を聞いたり、韓国語のテロップを見たりして、自分なりの日本語訳を付けてゆく。
これは、DVD-Rに付属していたおまけソフトを利用した。
こう書くと、すごく簡単な作業に思えるのだが、映画の30分ぶんやったところで力尽きてしまった。
翻訳作業は非常に勉強になるし、とても楽しいのだが、利用したビデオ編集ソフトがおまけソフトの域を出ていないし、バグも多く、効率的にテロップを入力する事が出来ないのだ。
また、DVDの利点として、複数の字幕を切り替える事が出来る機能があるが、おまけソフトでは字幕のオンオフまでは指定できない。
つまり、つねに字幕が出たままの映像しか作れないのだ。
もちろん、高額なDVD編集ソフトを購入すれば可能な事なのだが、そこまで金をかけることが出来るか?
いや、いずれやりたいとは思っているのだが・・・
4 再度、MPEG2というDVDの映像フォーマットに出力する。
とりあえず、30分だけで字幕の入った映像を作る事が出来た。
物は試しに、30分の映像をMPEG2というフォーマットに変換する。
おそらく実際の映像時間の4倍以上の時間がかかったと思う。
DVDフォーマットに再レンダリングする時間は、私が使っているPentium4/1.6GHzマシンを使っても、1時間のムービーで4倍以上の時間を要する。
寝る前にレンダリングを開始して、朝起きてチェックしたら「エラーです」という表示が出たり、もうすぐレンダリング終了だ!と思っていたら、キーボードの上に物を落っことしてしまい、レンダリングがキャンセルになってしまったり・・・
トホホ(ToT)
5 DVD-Rで、DVDビデオを完成させる。
今回私が購入したDVD-R/RWは、4倍速でDVDを焼けると言うドライブなのだが、現実には4倍速焼き付けに対応したメディアを使わないと、焼き付ける事は出来ない。
今回試しに購入した「DVD-R」のメディアは10枚で800円程度と言う爆安物。(4倍速対応の物は、一枚500円以上する)
いずれDVD-Rがもっと普及してくれば、4倍速焼き付けに対応したものも、手ごろな値段で手に入るようになるだろう。
当然激安品を使うと、標準速でしか焼けないのだが、一枚30分くらいで焼く事が出来た。
以上・・・
30分ぶんのテロップ入力に費やした時間は、約二週間。
休み二日分と、会社から帰宅したあと、ちまちまと作業を続けて行ったのだが・・・
始めから分かっていた事なのだが、市販の映画DVDは片面二層という記録方式になっていて、そのデータ量は9GM以上にも及ぶ。
一方、個人で作成できるDVDのデータ量は、現在4.7GB。
当然の事ながら、映画のような長時間のデータを入れようとしたら、画質を落とすか画面の大きさを小さくする、もしくは複数のDVDにわけるしかない。
試作のDVDを確認して見ると、なんだか動きが速いシーンで画面が乱れたりして、見た目に不快な事この上ない(-_-#
やりがいのある作業であったが、あまりにもばかばかしい行為だと気付く(^^;
日本で好評な映画なら、半年もすれば日本でも字幕付き、もしくは吹き替え版のDVDが発売されるに違いない。
とにかく「猟奇的な彼女」はお勧めなんだってば!
<03/03/10>