ある田舎村の話

2006年3月10日 / コンピュータ

 これはフィクションであり、現存する団体並びに登場する人物は全て想像上の産物であることを、予めお断わりしておく。


 ここは○○村のにある小さな村役場。
 ある日、村長さんのもとに一通の手紙が届く。
村長「むむむ…これは大変じゃ!ハチベエさん、すぐに村人を集めるのじゃ!
   とんでもないことになったわい!」
ハチ「へい、がってんだ!」
 公民館に集まった村人達。
 村長から一大事と聞いて、皆不安そうな表情を浮かべている。
村長「皆のしゅう、今日集まっていただいたのはほかでもない。先程代官所からお達しがあったのじゃ…
いいか、よく聞け。
今日から絶対に猪の肉を、鶏鍋の中に入れて食べてはならぬ!」
 公民館、水を打ったように静まりかえる。
 しびれを切らしたように、村人が口を開く。
村人「村長さん、そりゃどう言うことだい?」
村長「どうもこうもねぇ!とにかく猪は食べてはなんねぇだ!」
村人、暫らく悩んでから口を開く。
村人「村長さん、生意気かもしんねぇが、ここは漁村でねぇか…俺っち猪なんて食べたことないんだがよ。」
村長「おらも食べたことねぇが、とにかく食べるなってお達しなんだから仕方ないっぺ!」
村人「こないだも、おまえらの家で飼ってる鶏は、食っら病気になるからって言われてよ、泣く泣く全部つぶしちまったばかりじゃねぃか!?おかげで卵も鳥肉も隣村まで買いに行ってんのしってるっぺ!?」
村長「だがよ!お代官様からのお達しじゃ!お前らの家の鍋の中に、猪の肉が入っていないか一軒一軒見て回って、今後一切、猪の肉は食べませんと誓約書を書いて、届けないとならないんじゃ!」
 猪の肉を食べませんという誓約書…
 何がなんだか分からず騒めく村人達…
 いままでだまっていた長老様が重い口を開いた。
長老「村長さんや、お前さん何もわかっておらんようじゃな…」
村長「長老、おらもお代官様からのお達しがなんのことだかさっぱり分からないで困っていたんでごさいます。ぜひ皆に教えて下さいまし。」
長老「よいか、お前さんたちはしらんかと思うが、猪の肉は堅くてうまくない。だがの、猪の肉は鶏と一緒に煮るとたまらなく旨いんじゃ…」
村長「そうじやったか!さすが長老!」
長老「だがの、猪の肉は精がつくが、悪い虫がたくさんついているのじゃ。この虫の毒に犯されたら…」
村長「犯されたら…」
長老「もう、あそこが使い物にならなくなるという、恐ろしい伝染病じゃ。そうなったら、こんな小さな村終わりじゃ…」
ところが…
村長「村人には黙っておれよ!」
ハチ「村長、本当にいいんでげすか?猪なんて食べちまって…」
村長「どれどれ味見を…これは美味い!舌がとろけそうじゃ!」
ハチ「村長、とりしし鍋って美味いもんですなぁ!」
村長「む…なんだか、下のほうがむずむずするの…」
ハチ「あっしもでさぁ…」
 あわてて隣村の医者に行く村長とハチ。
 悪いことに、医者から役人の耳にこの噂が入ってしまった。
 村長とハチは島流しの刑…。
 その後、村人達は見たことも食べたことも無い猪のために、鶏を食べることも禁止されてしまったそうじゃ…
鵜猪煮(Winny)」は食べたらいかんというお話でございました。
雨のち曇り

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