DVDのコピー問題

 DVDのリッピングが流行っている。
 個人的にも非常に興味があったことなので、自分でも実際にやって見た。(字幕が入ったDVDを作ろう
 結果的に時間を費やすほど、まだまだうま味が有る作業ではない。

 実は、この話題自体、最近友人と意見交換しているうちに出てきた話なのだが、リージョンとDVDのコピー問題を考えると、実にさまざまな「?」が出てきてしまう。

 私は法律の専門家ではないが、この問題に関してちょっと私見を発表して見たいと思う。

■ DVDのコピーは違法?

 裁判の国、アメリカでは、DVDのコピー問題で、さまざまな判決が出ているようだ。

1 DVD複製ソフト会社が反論、「映画会社こそ憲法違反」
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20052497,00.htm

2 DVDコピーツール作者の少年、再び法廷へ
http://www.zdnet.co.jp/news/0303/03/xert_dvd.html

3 DVDコピーツールは公開禁止――映画産業の勝利
http://www.zdnet.co.jp/news/0111/30/e_decss.html

 素人でも簡単に海賊版を作れてしまうソフトが、無料でネットに転がっている時代。
 ネットとは、著作権のへったくれもない無秩序の世界なのか?
 やはり、おおっぴらにセルビデオのコピーをネットで売ったり、無料で公開したりするなど、やり過ぎはいけないと思うのだが、どこまでが個人で楽しめる「作業」なのだろう。

■ 国家間の強弱

 アメリカが日本の鉄人28号を輸入して、大人気になった。
 その後、作者に無許可?でキャラクターグッズを販売してすごい収益を上げてしまった。
 怒った作者がアメリカの某会社を訴えたのだけど、日本の法廷では「被告が外国(米国)にいる場合、訴える事ができない。」というような判決を出した。
http://www.translan.com/jucc/precedent-2002-11-18.html

 かたや、アメリカでは子供が書いた「ネズミの絵」をみた著作権者が「ロイヤリティーを払え!さもなければ絵を消せ」と言ったとか。
 本当に恐ろしい国だ(-_-#

 著作権に関する国際認識と、契約という物に疎い日本人と、いわざろうえないけど、やっぱり日本はまだまだ米国に占領されたままなのですかね。

■ 地域コードの違うビデオを見ると違法?

 話をDVDに戻すと、今後「地域コードが違うDVDビデオ」を巡って訴訟がありうるかも。

 A国が販売したDVDビデオを、A国に居住する人間が、地域コードの違う国に持って行って見ても、現状では問題ないと思う。

 だが、A国の映画が封切られておらず、DVDの販売も当然されていないN国の人間が、その映画のDVDを見てしまうと「N国での映画の収益が落ちるの」というのが、そもそもリージョンを設定した経緯だ。

 それじゃ、A国の人間がN国に居住していた場合はどうなる?

 A国に留学したN国人Bが、A国でその映画を見て、数ヶ月後出たDVDを数ヶ月後購入し、帰国した場合はどうなるんだ?

 その映画がN国で上映されていない場合、そのN国人Bは、個人で楽しむ以外、他人にそのDVDを見せてはならない、もしくはロイヤリティー?を払わなければならない、という判断が今後出る可能性が有るかも。

 そしたら、まだN国で放映されていないA国の映画DVDビデオを輸入した場合はどうなる?

 可能性としたら
1 その映画がN国で封切られるまでみちゃダメ(^^;
2 一応、まがいなりにも本国にお金を払ったのなら見ても良いよ
  ただし、他人に見せちゃダメダメ
3 日本でその映画DVDが発売された時の差額を払わないとダメ
 (だから日本のDVDは高い?)
4 良いとは言えないけど、たいした損害でもないから目をつむるわ

 なんて、いろいろな事を考えちゃうが、今のところリージョンの違うビデオを見てはいけないという法律は無い。
 だけど、そのうち某映画会社はもっとうるさい事を言い始めるかも知れないので、この際だから考えて見ようと思う。

■ リージョンの違うビデオが犯罪になる時

 ちょっと見方を変えて見よう。
 N国で放映が開始されていない、A国のDVDビデオを見る事が犯罪行為であると仮定した時、A国が主張する「権利侵害」をいつ、誰が行ったかだ。
 勉強不足で、絶対と言う答えを出せないので、可能性を・・・

1 映画が封切られていない国の人が、そのDVDを見た時
 まず誰でもこれを考えるだろう。
 被疑者は当然ビデオを見た人。

2 A国の領空、領土を出た時
3 N国の領空、領土にDVDが入った時点

 まだビデオを見た人がいないのに、権利侵害が発生していると言えるのか?と疑問に思うかも知れないけど、これには訳が有る。

 映画が封切られていない国にビデオが行く事自体、映画会社は面白く思っていないのだから、この点を追及される可能性は否定できない。

 もし、A国の人間が映画が封切られていない国にビデオを送ったのなら、被疑者はA国の業者。

あなたの国では、まだ販売許可が下りていないので、送れません。

と、販売を拒否することも出来たのに、それを怠ったため映画会社は不利益を被った、という理屈もありか。

 A国でDVDビデオを買ったN国の人間が、N国に帰ろうとしたら

このビデオはまだあなたの国では、販売許可が下りていません。
 したがって、このビデオの持ち出しはできません。

なんて厳しいこと言われるかも。
 だまって持ち出したら、密輸!!ひえ〜〜〜(^^;

 3の場合、販売許可が下りていない国にDVDビデオが入ると、再生される可能性があるため、その国では持ち込みを認めない。
 没収!!というのが、日本の税関で行われるようになるかも・・・
 もしくは、N国でその映画の上映が決定しているとしたら、N 国での版権はN国の配給元に有るのだから、配給元にロイヤリティーを払え!なんて話も出てきたりして。
 まぁ、おとぎ話みたいなもんですが。

4 DVDビデオをDVDプレイヤーに入れようとした時

 これは、泥棒がタンスの中のものを盗るために、タンスに近づいた時、すでに泥棒と言う行為が開始されていたという理屈の応用。
 つまり、販売許可が下りていない国に、DVDビデオを持ち込む事自体は、まだ違法ではない。
 だけど、あくまでも見ちゃダメダメということ。

 これからまさにDVDビデオを見ようと、箱からDiskを取り出し、プレイヤーに入れようとした、まさにその時!!
 青い目の、アメリカの連邦調査局員がドカドカっと部屋に乱入。
「アナタ!イマDVD-VIDEO見ヨウトシマシタネ!
 コノビデオ、ジャパンデ、マダ、見テハダメデスカラ、アナタ逮捕シマ〜ス!」
「刑事さん、違うんですよ!Diskラベルを眺めていただけですよ!
 プレイヤーのトレイが出てたのは、合法DVDを見終わって、引っ込め忘れただけです(ToT)」
 「ノノノ!嘘ダメデ〜ス。アナタニハ黙秘権と弁護士ヲヨブ権利アリマ〜ス」

 なんてドラマが放送されるかも知れない(^^;

■ 誰が一番得をするのか?

 DVDコピーツールを製作した少年に対して、「おまえのせいで、映画業界は30億ドルの損害を被った」等と主張しているが、30億ドルという数字はどこから出てきたのだろうか・・・

 大スクリーンの映画館で映画を楽しむ醍醐味。
 家の中でゆっくりと作品を楽しむ喜び。

 その作品が愛されれば、視聴者が二つの方法のどちらを選んでも問題ないはずなのに、映画会社は観客の事は二の次で、よりお金の儲かる方法、観客からお金を取るという着眼点から、「法律」という武器を使っているのだと思う。

■ リージョンとは著作権の一種なのか?

 友人が面白い意見を言ってきた。

>A国にあるドライブから、N国にあるディスプレイにネットで
>転送して再生した場合リージョンの問題はどうなるんだろう。

 話がリージョンの事に脱線してしまって、なにか理論的にずれてきているようだ。

 冷静に考えて見ればわかるんだけど、今回の話題は
1 DVDのコピーと著作権侵害
2 某映画会社が提案したリージョンの問題
 の、二点が問題だ。

 現在、訴訟になっているのは1であり、今のところリージョンの違うビデオを輸入した為に、訴訟が起こっている話は聞いた事が無い。

 だが、現実にハードウエアー的にリージョンと言う「プロテクト」がかけられている以上、これを超えようと思った時、何かしら政治的な力が掛けられる可能性が有る。

 現在日本でリージョンの違うDVDビデオを見ようと思ったら、

A DVDドライブのリージョンフリー化
B パソコンのDVD再生ソフトリージョンフリー化
C リージョンに合ったDVDドライブの購入
 などの回避方法が上げられると思う。

 結局リージョンコードの方針としては、ソフトウエア的にβとVHSのような形の違う物に見せかけているということではないだろうか。

 だけど、βだろうがVHSだろうが、デッキにテープを入れて、再生する時には、NTSCという共通のビデオ信号を出力する。
 リージョンの違う国を超えて、ネットワークを通してDVDを再生させると言うのは、このNTSC信号になってしまった画像を、テレビで観ているのとあまり変わりない。
 ちょっとこの結論は先送りとする。

 AとBについては、おおっぴらにやって良いかと言うと、非常に黒に近いグレーだと思う。
 大手家電メーカーは、その国のリージョンに有ったプレイヤーしか発売していないのだが、某所では改造を行ったDVDプレイヤーが、こっそりと高値で売られている。
 なんだか、その内手入れを受けそうな気もするのだが・・・

 今後予想される、映画業界からの圧力は
1 リージョンフリー化したDVDプレイヤーの完全販売禁止
 (リージョンの違うプレイヤー販売はOK)
2 DVD-ROMリージョンフリー化ソフトの配布禁止
3 DVD-ROMのリージョン切り替えをハードウエアー的に
 不可能にするなどかな・・・

 現状でCに関しては、おそらくいくらなんでも「ダメ」とは言えない。
 βのソフトを見るためにβのデッキ買って何が悪い!という事だ。

 先日、米国のDVDは安いとか、語学の勉強になる、という私と同じ意見の方がいらっしゃった。
 その方は
「秋葉原に行けば、アメリカのDVDプレイヤーが買える。コンセントの変換器と変圧器を購入すれば、3〜4万円で海外(米国)のDVDが見れますよ」

 と自慢げに話していたっけ(^^;
 こういう努力をする人にまで、当局は難癖はつけないと思う。

 ただ、秋葉原で米国製のDVDプレイヤーを購入する場合、店員に「なぜリージョンの違うプレイヤーが欲しいのか?」と質問されたという話を聴いた事が有る。
 ゲーム機の場合もそうだが、基本的に家電DVDプレイヤーを製造しているメーカーは、リージョンの違うハードを販売することに抵抗感を持っていると思う。

 業界内の暗黙の了解・・・
 リージョンを超えたハードをおおっぴらに売ってしまうと、某映画会社からとんでもない額のクレームがつくだろうと考えているに違いない。

 そもそも、リージョンコードの差別化によって、誰がメリットを受けているかだ。
 例えば米国のAという歌手のDVDビデオを、Bという会社が全世界に販売しようとしたら、リージョンをかけないほうが都合がいい。
 B社はDVDが売れればいいのだから、お客が送料を負担してくれれば、どんどん売るだろう。
 歌には国境がないということで、現実に米国でもリージョンフリーの音楽DVDが出回っていると言う。
 非常に分かりやすい話だ。

 映画だって全く同じだと思うのだけど、やはりDVDより映画館の興行収益の方がうま味がある。
 映画館では「映画」を見せるが、客には感動と、映画の内容という記憶しか残らない。
 もし映画が面白ければ、DVDが出た時皆ここぞとばかりに購入するだろう。

 むかし「●×物語」なんて、陳腐な日本映画があったけど、その映画が秋田県に来た時には、すでにビデオが発売された後だった。
 映画館のすぐ近くには大きなデパートが有り、「●×物語」のビデオが発売されていた。
 当時セルビデオの値段は1万数千円と異常な値段であったので、「ビデオを買うよりは映画館」で、という図式が成り立っていた。
 ところが、デパートでは、ばか高いビデオを売るため、こともあろうに、客寄せのためビデオを放映してしまったのだ。
 当然の事ながら、映画館はそのデパートに「営業妨害だ」と抗議。
 ビデオの再生は打ち切られた・・・なんてこともあった。

 前に書いたことのおさらいだが、N国に在住しているA国の人間が、字幕の無いビデオを見たってノープロブレムだと思う。
 映画業界も文句はつけないと思う。

 次に僕のように、字幕がなくても問題ないという人間は?
 DVD-ROMのリージョンが回数限定で変えられるという、前提があるのだから、映画業界も現状では文句を言わないはずだ。
 おそらくクレームを付けてくるとしたら、日本の映画配給会社の方だろう。

 ただ、日本の映画配給会社も高い金を出して、映画の放映権を購入するのだから、DVDビデオにはリージョン規制が入っていた方がなにかと都合が良い。
 リージョンが違うので見れないと言われれば、正式に販売されるまで待つ人がほとんどだから。
 字幕を見ないと、内容が分からない人が、わざわざDVDを輸入するはずないし。

 さぁ、やっと答えが出てきたような気がする。
 前回も書いたように、誰が損害を被ったかが問題だ。

 はっきり言って、リージョンという防波堤は作って有るが、簡単に超えてしまえる。
 これは、超えられる人は、どうぞという事だと思う。
 その程度の垣根なのだし、その国のリージョンでないDVDを購入するのは一部のマニアだけだし、お金を出して買ってくれた人を訴えたりはしないと思う。
 そもそも米国とその他の国と言う構図だ。
 米国が日本にDVDの版権を売った時点で、米国は版権でかなりの収益を上げているはず。
 日本でそのビデオが売れようが売れまいが、米国には全く関係のない話し。
 日本ではえらく高く売られているビデオが、送料込みで安く手に入るのなら、誰だって海外ものを買うだろうし、日本の会社も「リージョンが違うのは違法だ!なぜわが社の製品を買わないんだ!うわ〜」なんて言ってもね〜(^^;

 結局、消費者が賢くならないとダメってことかも知れない。

■ 個人のコピーはどこまで大丈夫?

 とあるDVDビデオの裏面を見ると

1 本製品の一部または全部を許可なく配付、賃貸、販売、パソコン通信による伝送をする事は出来ません。
2 複製行為や二次的著作物の制作もいっさい禁止します。
3 本製品の著作権は全てその著作権者に帰属します。

と、書いて有った。

 購入したビデオを友達に貸したら犯罪?
 レンタルしてきたビデオやCDをダビングしたら犯罪?

 これは有る程度一定の見解が出ていると思うが、営利にならなければ、少なくとも日本ではかなり広く許されていることだと思う。
 いや、本当はいけない事かもしれないが、もはや日本のレンタル業界はそこのところを計算に入れているはずだし、お客がコピー製品を持っていたら、警察に訴えるという話は今のところ聞いた事が無い。
 ただ、CD-Rが広く利用されるようになって、状況は変わりつつあると思う。
 何しろ100%現物と同じ副製品が作れてしまうのだから、レンタルショップから100円くらいでレンタルして来て、コピーしてしまえばだれも新品のCDなんて買わなくなる。
 そのため日本のレコード会社もコピー出来ない音楽CDを発売するなど、危機感を持っている。
 DVDのコピーもにわかに現実味を帯びてきているので、今後ますます規制が掛かってくるのは明らかだ。

 話を元に戻しまして・・・

 1のパソコン通信による伝送というのは引っ掛かるけど、これはデータの伝送、又はインターネット上で誰でも見れるような公開を意味しているのであって、先のパソコン通信(ネットワーク)再生を禁止しているわけではないと思う。

 プロテクトを解除しては犯罪になりますとは、どこにも書いていないが、解除されれば複製できると言うことに直結するので、解除プログラムを配付した人間は著作権を持つ人間からはマークされている。

 こういう話題になってくると、ソフトウエアーとハードウエアーという概念の話になってくる。
 一見客はDVDビデオを購入した楊に見えるが、実は客が購入したのはプラスティックで出来た円盤だけであって、中に入っている情報権利は、DVDを買った人間にはなく、上記のように「著作権は著作権者だけにある」ということ。

 リージョンに関して、「リージョンが違うと再生できません。」程度のアナウンスしかされていないものの、現実に国内のDVDプレイヤーを製造販売しているメーカーは、映画業界、音楽業界などと「自主規制」を行い市場を守っている。

 技術的なイタチごっこは、いつまでたっても終わらない。
 その内、また新しいメディアが登場してくるだろうし、その時には以前では考えられなかったような「問題」が発生するかも知れない。

 今日はここまで。

※ 今回の話題は今後訂正される事が有ります。

<03/03/10>

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