辞書を交換した話

 韓国語の辞書の値段は非常に高い。
 なぜ高いかというと需要が少ないからだ。
 それでも韓国語はまだ良いほうらしい。
 ポルトガル語だか、ベンガル語だかの辞典は安くても数万円するという話だ。
 日本で手に入る韓国語の辞書で「これは絶対に御奨め!」と言えるものは「小学館」から出ている韓国語の辞書。
 だがこれが一冊8千円ほどする。
 また、日本語を韓国語に翻訳するためには「日韓辞典」も必要になってくる。
 結局2冊で1万円程の出費を覚悟しなければならいことになる。

※ Internetの通信販売では、韓国で販売されている辞典が日本の半額ぐらいで購入できます。送料込みでも断然お得!

 1年半前、なりゆきで韓国語の勉強をすることにしたと、知り合いの奥さんに話をしたら新品の韓国語の辞書(民衆書林 日韓、韓日2冊)をくれるというのだ。
 その方は随分前に韓国語の勉強を始めようと一念発起したまではよいが、結局断念してしまったという。
 それじゃ辞書を貰ったお返しに、いずれ私が韓国語を教えてあげるということになった。

 学校での勉強は辞書との戦いだ。
 とにかく一から十まで知らないことの連続。
 わからない単語が有ったら調べるしかない。
 ところがいくら調べても出てこない単語が有った。
 韓国語には単語の形が大きく変わってしまう「変格用言」という物が有るから、おそらく調べ方が間違っているのだろう、と納得して数ヶ月が経ってしまった。
 ところが「遠い」という非常に単純ながら、基本中の基本とも言える形容詞が載っていない!
 そんな馬鹿な!と思いつつ、辞書を見返してみたところ・・・


ペ、ページが飛んでる!

 17ページも飛んでいると、調べられない単語は物凄い数になる。
 だけどタダで貰ったものだし、とっくの昔に赤線だらけになっている辞書を取り換えてくれとも言いづらい。
 そこでこの辞書を発行している会社に「足りないページを送ってくれ」とメールを書いたのだが音信不通であった・・・

 この辞書を使いだして1年半が経とうとしていた、ある日の授業。
 韓国人の先生にこのことを笑いながら話したところ、いきなり携帯していたデジタルカメラを取り出し、辞書の落丁を撮影し始めた。
 この辞書の会社に文句を言ってやる!とのこと・・・
 去年連絡をとっても解答が無かったのだから、宛てにしないでいつもの通りに勉強をしていた。
 すると数日後、その先生はプリントされたメールを持ってきて下さった。
 そこには「本来なら落丁の有る辞書を受け取ってから、替わりの辞書を送ることになっているのですが、今回は先に辞書をお送りいたします。韓国にいらしたときで結構ですから、その時辞書をお返し下さい」と書いてあった。

 しばらくして、真新しい辞書が手に入ったのだ。
 若干サイズは大きくなっているが、内容は全く同じ。
 古い辞書で発見した印刷ミスもそのままだ(^_^ゞ

 新しい辞書の替わりに古い辞書を韓国に送らなければならないので、どんな方法が良いのか色々聞いて回っているうちに、驚くべき知らせが入った。
 古い辞書は送る必要はない!とのことだった。

 手垢にまみれ、赤線だらけになってしまった古い辞書とは言え、一年半もの間凄くお世話になった辞書だ。
 思い出も沢山つまっている辞書を送り返すのは忍びないと思っていた矢先だったので、非常に嬉しい知らせだった。

 辞書を交換するために時間を割いてくれた先生の為、また快く新しい辞書を送ってくれた辞書の会社の恩義に報いるためにも、より一層勉強に励みたいと心に誓ったのであった。

<01/11/19>

Copyright © 1998- "Senkyousi", All Rights Reserved.
E-Mail : na_neun_seon_gyo_sa@hotmail.com

戻る