14 オヤジギャク

 笑うというのはストレスの発散にもなり、非常に健康に良いことが科学的に証明されていると聞く。
 そして落語や漫才のように、練りに練った芸で人を笑わせるというのは、並々ならぬ努力と研さんが必要な、凄いことだと思っている。
 しかし、最近テレビを付けると漫才をやらない漫才師や、芸の無い芸能人(芸無い人)が、自分達だけで楽しんでいるような、およそ芸とは言えないお笑い番組が垂れ流されている。
 また、そういう連中の笑いは「人を馬鹿にして笑う」という、腹の底から笑えるような代物ではなく、視聴者の中には、日常生活でも「人を馬鹿にして笑う」と言うことに、何の疑問を持たない人間が増えていると思う。
 練りに練った芸で笑わされた時の「さわやかな笑い」と、人を馬鹿にした「汚い笑い」とは、同じ笑いでも全く異質のものだと主張したい。

 さて、「さわやかな笑い」や「汚い笑い」の他に、ツボにはまった時だけ笑える「一発ギャグ」と言うものも有ると思う。
 しかし、「一発ギャグ」が不発に終わったとき、一瞬にして周囲の空気を凍りつかせる。
 芸人にとっては非常にハイリスクな物であるあるが、これが素人だと始末に終えない。
 これを日本では「オヤジギャグ」と言うわけだが、残念ながら韓国にオヤジギャグにあたる単語が無い。
 だが、韓国にも似たような芸が存在するという情報を得た(^_^ゞ

 コントの舞台は韓国の時代劇のような感じ。
 韓国服を身にまとった上官が部下の家を訪ねて行って、玄関で偉そうに人を呼ぶ。

  i-ri o-neo-ra!
 イリ オノラ!(こちらに来い!)

 すると、狼のぬいぐるみを着た相方が出てきて「御呼びになりましたでしょうか?」
 チャンチャン!(-"-)

 韓国語の知識が無ければ全然笑えない話である。
 「こちらに」と言う単語は「イリ」な訳だが、同音異義語で狼を表す単語でもある。
 だから、狼は自分の事を言われたのだろ思って出てきたと言うことだ。

 第2幕
 やはり上官が道を歩いている部下を呼び止めようとして

  ge seod-ggeo-ra!
 ケ ソッコラ!(そこに 止まっておれ!)

 すると歩いている犬が「え?俺のこと呼んだ?」と立ち止まった。
 チャンチャン!(-"-)

 「ケ」と言うのは「そこに」と言う意味の縮約形である。
 本来上の表記の「ケ」というのは、「カニ」を意味する単語なのだが、「犬」の意味を表す「ケ」と発音がほとんど同じなのだ。
 だから「犬」が自分のことを呼んだのだと思って立ち止まったというコントである。

 このコントを日本人が見ても「さぶ〜〜」となるだけだと思う。
 日本人と結婚して、日本で生活することになった先生が「家族でテレビを見ていて、突然皆が笑いだしたのに、何が面白いのか全然理解できなかった。
 日本人と一緒に笑えるようになって、始めて自分が日本に溶け込めたのだと感じた」とおっしゃっていた。

 私は字幕無しのドラマでは、聴き取りで40%位しか理解できないが、その場の状況と雰囲気でストーリーを推測することにより、計70%以上理解できると思っている。
 しかし言葉や文化が理解したうえでないと、どうしても理解できない部分というものが有る。
 言葉遊びやオヤジギャグまで理解できるようになるまでには、とにかく多くの分野の事を吸収しなければならないということなのだろう。

<01/07/25>

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