20 天使病

 後天性性免疫不全症候群、通称エイズという病気が有るというのを、テレビなどで知ったのは今から15年ほど前のことだったと記憶している。
 もちろん薬害エイズ事件などから見られるように、一部の医療関係者はとっくの昔にこの病気を把握してしていながら、己の利益のため罪の無い患者の命を軽んじていたという、衝撃的な事実も明らかにされている。

 ところでこの病気はここ数十年のうちに発生した病気なのだろうか?
 友人からのまた聞きなので確証はないが、約100年ほど前に、原因不明の病気で亡くなった方の血液サンプルを調べてみたところ、エイズだったという。
 つまりこの病気は「エイズ」という名称が付けられる前から「原因不明の病気」と言う形で存在してたということだ。

 医学界では原因が特定できない症状を「●×症候群」と仮名して呼ぶらしい。
 のちのち研究が進めば、同じ症状の「○×症候群」であっても、ウイルスなどが原因であったり、たんなる神経的なストレスから発生した心の病=極論から言ってしまうと自己催眠に近い物とに別れてしまったりする。

 お隣の国、韓国では、日本には存在しない病気があると聞いて困惑した。
 この病気は、いったいぜんたいどんな病気なのだろう?

A氏「アフリカの子供が伝染病で苦しんでいるのよ!あんまりかわいそうだから給料の半分を寄付しちゃった!」
B氏「あんた、天使病ね、天使病!

 天使病とはどういう病気なのか?

cheon-sa-bbyeong (天使病)

この病気になると、かわいそうな人を放っておくことが出来なくなる。
 重症になると、自分の幸せは二の次に、他人の苦しみを自分の苦しみのように錯覚するようになり、私財をなげうって寄付をするようになるという・・・

A女史「ねぇ、聞いてよ!彼ったら私の誕生日なのに、プラダのバックも買ってくれないのよ!。ほんと嫌々症が出ちゃったわよ!。」
B女史「あきれた!あんたは公主病よ!」

  sil-jjeung-i na-da(嫌々症が出る。)

 腹が立ったときなど、相手に対して嫌気が差したときに出る、一時的な症候群である。
 ちなみに

silta とは、嫌だという意味である。

gong-ju-bbyeong(公主病)

 別名「お姫さま病」。この病気にかかった女性は、地球は私のために回っていると錯覚し、わがままの限りを尽くすという。

 さて、いかがだっただろうか?
 今回紹介したように、病気のような単語であっても、韓国特有の病気が存在するということではない。
 「天使病」「公主病」など、はたからみて度を過ぎた事をする人間を、まるで病気にかかっているようだということで「○×病」と表現することが有るということだ。
「嫌々症が出る」は本来「嫌気が差す」とか「飽き飽きする」と訳すのであって、私の個人的な意訳である。

 ちなみに「天使病」と言うのを初めて聞いたのは「接続」という映画の中の台詞だ。
 主人公の女性は通信販売のオペレーターなのだが、たびたび気弱な青年から電話が掛かってくる。
 彼は彼女に気に入られようとして、通販製品をあれこれ送っているのだが、受け取っても貰えないという。
 彼女は単なる通販のオペレーターなのに、電話の彼に同情してあれこれ商品のアドバイスをしたりする。
 そんな彼女を同僚が「天使病ね〜!」と言っていた。

 彼女は恋敵であるはずのルームメイトにも、「彼は青色が好きだって言ってたわよ」と助言をしてしまうほどの天使病だ。
 自分の恋も思い通りに行かない主人公の女性が、ひょんなことからInternetで、ハン・ソッキュ演じる、昔の彼女を探し続けている男性と知りあうようになる。
 お互い顔も知らない間柄なのに、お互い自分の心の許し合うようになるのだが、はたして、二人の恋の行方は?と言うようなストーリー。
 あれ?この話は米国の「ユー・ガッタ・メイル」のパクりか?と思い気や、米国映画よりかなり前に発表されているし、話の展開は「ユー・ガッタ・メイル」の様に商売敵が恋に落ちるという話ではない。

 ここ数日「韓国映画」をネタにした話題が続いているが、偶然である。
 しかし、カビの生えたような古い教科書だけ勉強しているだけでは飽きてくる。
 だから生きた語学を学ぶためにも、映画は良い教材だと思う。

<01/07/31>

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