67 恩を着る

 今回は趣向を変えて「日本語のお勉強」である。
 始めに断っておくが、今回書くことは「私の想像」であり、言語学を習ったわけではないので間違いが多いと思う。

 まず下の文を翻訳してみよう。

  eun-hye-leul ib-dda

 始めの二文字は「恩恵」という漢字語で、日本語で言うところの「恩」と訳しても差し支えないと思う。
 「己」と言う字が二つ重なっている様なハングルは、日本語で言うところの「を」を表す助詞である。

 恩恵を

 次に終わりの二文字は服を「着る」等に使われる動詞である。

着る

 つまりこの文章は「恩を着る」→「恩を受ける」と訳せるわけだ。
 授業中、先生から「日本語で、これと同じ表現が有りますか?」と質問されたのだが「恩を着る」ではなく「恩を着せる」という言葉が頭に浮かんだ。
 ちょうど傘地蔵の話を翻訳していた時だったので、地蔵に「恩を着せた」という情景が頭に浮かんだというわけだ。
 そして先生には「恩を着る」という表現は無いと答えてしまった。

 数日後テレビを見ていたら「恩に着るよ!」というセリフが耳に入ってきた。
 あれ?よくよく考えてみたら「恩を着る」を日本語では「恩に着る」と言うではないか!
 助詞が「を」ではなく「に」になっていたため、授業中、気がつかなかったのだ。

 同じような日本語に「根に持つ」という物が思い浮かんだ。
 恨みなどをいつまでも「抱いている」という意味である。
 なぜ「に」なんだ?と言う疑問が湧いてきた。

 そこでまず「根に持つ」の「に」について考えてみよう。
 「根に持つ」をもっとわかりやすく表現すると

恨みいつまでも心の根っこの部分、奥深いところ持ち続ける

と言うことが出来るのではないだろうか?
 つまりこの「に」とは「ポケットの中財布が入っている」「壁時計が掛かっている」という場所の指定の「に」ではないだろうか?

 これと同じ考え方で「恩に着る」を解釈してみると

貴方に施していただいた恩(心)着てがんばることが出来ます

なんて解釈をすることが出来るのではないだろうか?

 今回取り上げた「助詞のに」に関しては、病院に行った韓国人が、お医者さんに「ベットに横なって下さい」と言われたのだが、日本語的な言い回しが理解できず、勘違いしてしまったという話題で触れたことが有る。
 言い回しというものは、解釈してみると結構簡単な表現に置き換えることが出来ると思う。
 「恩に着ます」というもの「ありがとうございます」、「根に持つ」は「ずっと恨んでいる」と言い換えることが出来る。
 だけど、同じ意味だから一個覚えればあとは必要ない!というのでは言語の幅が狭まってしまうような気もする。
 日本人でありながら、知らずしらずに使っていた母国語のことまで考えるようになるというもの、外国語を習って客観的に母国語を見るという副産物なのだろう。

<01/11/19>

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