大人の条件 

 平成13年、夏の夜の話である。
 先日迎え側のアパートに、若い夫婦らしい家族が引っ越してきたのだが、この夫婦の部屋に彼らの友人が良く訪ねてくるようだ。
 夜中だというのに家の前で昼間と変わらない声でぺちゃくちゃ喋っていて、大きな声で「ソレッジャネ〜」と元気よく帰ってゆく。
 我が家では夜10時を過ぎると、テレビの音が漏れちゃいけないと、音を小さくしたり、小声で喋るものなのだが。
 毎日有ることではないし、引っ越し直後だから友人を招待したりと、色々大変なのかも知れない。

 その日、迎えの住人は午後4時頃から宴会をやっていたようだ。
 最初、話し声の雰囲気だけ聞くと、高校生か中学生が友達の家の前でおしゃべりをしていたのかと思った。
 何が楽しいのかわからないが、大勢で「ゲラゲラ」「ワ〜〜ハ、ハ、ハ」と周りを気にせず大笑いしたり、時折チンパンジーがいるのかと思うほど、「ア〜ハハ」と大笑いをしながらパンパンと手を叩く音が、静かな住宅街に響き渡っていた。

 午後11時頃、彼らは一時静かになった。
 彼らは相変わらずの大声で喋りながら、どこかへ歩いて行ってしまったのだ。
 やっと宴会が終わったかと思っていたのだが、にわか喜びだと気付く。
 どうやら買いだしに行っていたらしい。
 再び馬鹿騒ぎが始まり、チンパンジーの拍手も深夜1時過ぎになっても終わる気配はない。

 さすがにこれは我慢ならないと、その家に抗議に行った。
 秋のような心地よい風の吹く日だったから、その家も窓を開けっぱなしにしていた。
 窓を開けていると外に声が漏れるだとか、周りには人が寝ているという考えはまるでないのだろう。
 部屋の中には7,8人の男女が酒を飲んでいた。

「うるさいんだよ。いい加減にしてくれ!君たち高校生か?」と聞くと、多分その家の住人なのであろう、20代の女性が「大人です」とだけ答えた。
「大人だったらわかるだろう!早く寝ろ!」と言い放って帰ってきた。
 さすがにその後は笑い声一つ聞こえなかった。

 日本の法律では20歳を超えると「成人扱い」となり、悪いことをすれば名前が公表される。
 だが、20歳を超えると自動的に大人になるのか?
 19歳11ヶ月29日はまだ子供なのか?

 先日、湘南辺りでナンパされに来た「自称二十歳」の馬鹿女が、深夜交番に電車賃を借りに来る映像が放映されていた。
 後先考えず遊びまくったのか、所持金は100円以下(-_-#
 お巡りさんが「ご家族が心配しているかも知れないから、連絡を取るぞ!」と言ったのだが、その馬鹿ねぇちゃん「私もう大人なんだから、親なんて関係ないじゃん!お巡りさんと●×(自分の名前)の話し合いでしょ!」と威張っていた。
 今年の成人式で馬鹿者が市長(だったかな?)さんに物を投げるという、馬鹿騒ぎをした揚げ句、「警察ざたになるとは思わなかった」、という事件も思い出される。

 決して障害者を差別する訳ではないのだが、五体満足な人間でも「耳が聞こえない」「目が見えない」という人間がいる。
 つまり「周りが寝静まっているという音が聞こえない」、「時計を見て、今は夜中なんだ。周りの人は寝ているんだという認識が無い」ということだ。
 こういうことを書くと「障害者を馬鹿にしている、障害者にあやまれ!」と、虎の威を借る狐のごとく、逆切れして矛先を180度反転させることも経験済だから、あえて書かせてもらった。

<01/08/11>

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