オタクな日常(前編)

■ は〜るかメカ次元〜♪

 ふと、昔見たアニメの1シーンを思い出した。
 メカ次元なる異次元からやって来た、ロボットヒーローアニメである。
 普段はライターサイズになっている主人公のロボットが、人間の友達にこんな質問をされる。

 メカ次元て、どこにあるの?
 それは気付かないだけなんだよ。空気だって目に見えないだろ? だけど水の中ではその存在がはっきりと判る。そんな感じかな

 なんで今ごろこんなことを思い出したのだろう? 不思議でたまらない。
 でも、ぴんときた。 神の啓示かはたまた天声か(^^;

 最近「そんなおたくに・・」の入り口(ご注意)に書いた通り、このコーナーは「変なおたく達を更生させる」なんて崇高な使命を受けてやっているのではない。
 「変な人たち」の考え方に納得できない自分に対して、なぜ彼らはその様なロジックになるのか、なぜ自分はそう変に感じたかを自己検証している部分が多分に有る。(そう、自分のためにやっているのだ)
 能書きをたれるわけだが、その能書きがすっきりとしないので、また悩んでしまう。
 タダひたすら悩むことも多いのだが、例えば徹夜明けなのに「漫画喫茶」に6時間こもって漫画を数十冊読み続けて、ふらふらになったその帰りの電車でひらめくなんてことがあった。
 このメカ次元の話が頭に浮かんだとき、こいつは自分の中で今年の総決算的コンテンツになったと確信してしまった(^_^ゞ
 タイトルを付けてから2ヶ月もアップできなかったのは、あまりに書きたいことが山盛りになってしまったからである。

■ いわゆる「オバサン」の話

  僕もずいぶん長いこと外回りや苦情処理係をやっているので、光栄なことに変な人と直接対決したり、はたまた同僚やお客さんからも「微笑ましいニュース」がたくさん、たくさん入ってくる。
 オバサンなんて書いてしまうと「人権侵害」だとか「男女差別だ!」なんて言う人が沢山いるので怖いのだが、「オバサン」というやつは僕の考える「おたく」に非常に密接な関係がある気がするわけだ(^_^ゞ
 とりあえず、インターネット上のお話ではない、現実世界のお話をとりあえずお読み下され。

第1話 お客様は神様です?

 先輩が係長から呼び出された。
 何でも支店長あてに凄い苦情の電話が直接掛かってきたので、その時の事情を聞きたいとのこと。
 まぁ、係長も「ヒステリー起こしているオバサンの件」と言っていたので、一方的なお小言を言われることはなさそうだった。
 先輩はどのようなことをしたかというと・・・

 先輩がお客さんと納品手続きをしていたそうだ。
 送り先の住所や時間などの確認を書類に順番に書いて行くだけで、自動車の見積もりのような複雑なものではない。
 そこに後から「オバサン」がやってきた。
 たまたま受付には先輩一人しかいなかったし、先客を相手にしていたから、オバサンに「少々お待ちくださいと」と言ったわけだ。
 するとそのオバサンは

「私は●×時までに帰らなくちゃならないの!忙しい中30分の時間が有ったから来たのよ!受け付けてくれるの、くれないの!」だとさ。

 なんでもそのオバサン、忙しいと言っていたにもかかわらず、駅から歩いて来たそうだ。
 駅から一本道なので迷うことはないのだが、距離的には1キロ位なのでオバサンの足では15分以上はかかったはず。
 自分がお得意さんであるようなことを主張していたそうで、支店の場所もわかっていたはずだし、その通りにバスが通っていることも知っていたはずだ・・・(※バスは10分毎位に出ているし、乗ってしまえばバス停は二つ先で、支店まで5分と掛からない)

 先輩は「お急ぎでしたら、後程こちらから伺いますから」と言ったのだが、オバサンは目を見開いて「もういいわ!店長に文句言ってやる!」と大声で言っていたらしい。
 そして先輩が先に接客していたお客さんにも「あんたもこんないいかげんなところに頼まないほうがいわよ!」と捨てぜりふを残して店から出ていってしまったそうだ。
 先輩と先客は顔を見合わして首を傾けたそうだ。

第2話 盗聴されている?

 さて、私の勤める支店にも受付が有り、そこでは商品の受注だけでなく、お客さんからの苦情や要望を受け付けたりする。
 ところが何をとち狂ったのか、消費者センターと勘違いして「なんでも相談できる場所」と思ってやって来る人が少なくない。

 私が受付にいたとき、そのオバサンはやってきたのだ。
 我が社の製品でも、我が社が売った商品でもない「親子電話」の箱を持って・・・
 第一声が驚いた「この電話機はお店の人の間違いで違うものが入っていた。盗聴されているから取り返してちょうだい!」だとさ!

 このオバサンが何を言わんと頑張っているのか、理解するのに凄く手間取った。
 なにしろ「だんなとは別れて住んでいるんだけど、生活費も滞っているし電話をかけてもなかなか出ない」とか、関係のない与太話を交えながら、延々遠回りして説明してくれるのだ。

 つまりこういうことだ。
 A社の子機が追加できる電話機単体(親機)が「A−1」と言う製品番号が付いており、その子機は「A−2」と言う製品番号で売られている。
 そして、親機と子機をセットにして「A−3」と言う名称で売られているのだ。

コードレス親子電話セット(A−3)

コードレス電話親機(A−1)

コードレス子機(A−2)

 そのオバサンは

『「A−3」と言う電話を買ったのに、中には「A−2」と言う子機が入っているじゃないの。
 この電話に付いているはずの「A−3」と言う子機が間違って誰か別の人のところに行っているに違い無い!
 私たちの電話を盗聴しているので、行って取り返して欲しい』

 だとさ!
 飽きれたのを通り越して、不覚にも感心してしまった。

 私は「我が社の製品でもありませんし、このような苦情は買ったお店に行って欲しいのですが。」と言ったのだが、どうやらすでに買ったお店には電話したらしく、相手が全然自分の主張をとりあってくれないので、しかたなく飛び込んできたとのこと。
 そりゃ、相手の言うことは理解しようとせず、自分の主張だけを言い続けていればさじを投げられるさ。

 私は心の中で「筋違いの奴」と思いつつ、絵を描いて順に説明したのだが、いっこうに理解しようとしない。
 30分以上してから、もうこれはダメだと電話機のサポートセンターに電話して、そのオバサンと代わった。
 「なんでお宅様のところに来たのでしょう?」とサポートの女の子に言われたが、それは私が言いたい台詞である。
 
 オバサンは私にしてくれた自分の主張を電話に向かってまた繰り返す。
「私は盗聴されているのよ!早く取り返して!!」
 電話の向こうの人の顔が目に浮かぶ・・・

 結局オバサンは行き場の無い怒りを解消できず「もういいわよ!」と言いながら出ていってしまった。

第3話 町のつぶやき

 窓口に変な人が来るのにはそれなりの理由がある。
 どうやらこの支店のある周りは「変な人」が異常に多いらしい。
 このことを口にする人が結構いるのだ。
 いや、日本全国的にそう言う人が増えているのかも知れない。

 僕がある町の信用金庫に営業で行ったときの事。
 またしてもオバサンがやってきて、信用金庫の支店長に当然のごとく言った。
 「(信用金庫の)前の自転車屋が道端に沢山自転車を置いているじゃない!危ないから自転車を片付けるように言って頂戴よ。前にも言ったでしょ。早く何とかしてね。」だとさ。

 支店長もオバサンが一応お客さんかもしれないので「わかりました」と言ったものの、私と顔を見合して「自分で直接言えばいいのに・・・」とつぶやいた。
 支店長曰く「この町はなんか変なんですよね。変な権利意識ばかりあって。変な問題に巻き込まれないうちに早く転勤したいですよ」。
 納得である。

 話は変わって、ある女の人が店に来た時のこと。
 事務的な手続きが終わった後、世間話になった。
 その女の人は「保護司」をやっているそうだ。

 興味があったのでその仕事の内容を聞いてみたのだが、簡単に言うと裁判所?から委託を受けて、定期的に「悪餓鬼」を見に行ったりして素行を調査したりするそうだ。
 手間賃程度のお金をもらっているものの、悪ガキが再度非行に走らせないようにする努力する義務はないし、非行に走らせないために特別な権限を与えられているのではなく、ボランティアみたいなものらしい。

 ところがその保護司さんが先日、オバサンに呼び止められたそうだ。
 「そこで子供が喧嘩してるわよ!保護司さんなんだから止めに行って頂戴!」だとさ。
 保護司さんはつぶやく。
 「警察官じゃないんだから、そんなことをする義務や権利は無いのよね。怪我をしたって面倒見てくれるわけじゃないし。自分でやればいいことを保護司だからやってくれと言われたり。なんか変なのよね。この町・・・」

第4話 怒られるわよ!

 これはかなり昔、テレビかラジオで聴いたお話。
 バスの中で駄駄をこねる子供に母親が言ったそうじゃ。
 「わがまま言ってると車掌さんに怒られるわよ!」って。
 そのやり取りを聞いていた車掌さんは、車内アナウンスで「はい〜、車掌は怒りませんよ〜」だって。(^_^ゞ
 なぜそのオバサンは自分の子供を叱るのに、他人の力を使おうとするのだろうか?

 同じ様な話を耳にした。
 子供を連れた母親が、交番の前を通るとき「わがまま言ってるとお巡りさんに怒られるわよ!」
 なぜ母親は自分の力で子供を叱らないのだろうか?
 子供に嫌われたくないみたいなところがあるのかもしれない。
  
 この手の話は山ほどあるのだが、一連のオバサンのロジックを総合してみると

 と言ったところであるか。
 APPLEがVAIOみたいなノートパソコンを出さないとか、「ワンボタンマウスで、何でもかんでもずるずる引き摺って作業するのがそんなに楽しい?」と言っている人と変わらない気がするのだ。

■ 餓鬼の発想

 さて、オバサンの次は若者、餓鬼のお話である。

第1話 看板しょってるんだろ?

 私の友人にF君という面白いやつがいる。
 良いやつなのだが、気に入らないやつには散々な事を言うのだ。
 放送禁止用語とか、口汚い台詞もよく聞くのだが、筋が通っていているので、不快に思わないのが不思議である。

 さて、F君が原付きバイクでとことこ走っていると、どういうわけだか後ろからトラックがあおってきたそうだ。
 原因はよくわからないのだが、狭い商店街をバンバン吹かして、スラロームをしながら追っかけてきたそうだ。
 そのトラックには某有名な会社の名前がでかでかと書いてあるのに。
 「変なやつだな・・」と思いつつ、F君は裏路地に入ってトラックをかわしたそうだ。

 ところが大通りに出たら、執念深くそのトラックがバンバンあおりながら追っかけてきたそうだ!
 交差点で止まったとき、運転席から顔を出したやつは二十歳そこそこの若い男だったそうで、罵声を浴びせてきた。
 どうやらそのお猿は、割り込まれたりするのが嫌いらしく、その程度のことで仕事を投げ出して追っかけてくるほど、瞬間湯沸かし器のように頭に血が上ったようである。
 口では負けていないF君だったが、ばかばかしいのでさっさとその場から立ち去った。

 ところが数日後、F君が同じ道を走っていたら、そのお猿がF君を見つけて三度あおってきたそうだ。
 さすがのF君も切れてしまった。
 お猿を飼っている会社に電話して罵詈雑言を言って、謝罪しろと言った。
 お猿の飼い主は陳謝するとともに、どこかでお会いできませんかという運びになったのだが・・・
 予定していた日を一方的に変更されたりして、そのボルテージは最高潮に達したらしい。

 某所の喫茶店でF君は、お猿とその飼い主とご対面。
 頭の低い飼い主とは相反して、お猿は謝るそぶりも見せない。
 なんでもお猿は「俺にはプライドがある。」みたいな事を言っていたらしい。
 F君は「おまえ会社の車に乗ってんだろ?看板背負って走ってんだろ?それでも自分のしたことを、まともだと思っているわけ?」と言ったのだが「そんなものは関係ない、俺のプライドの方が重要だ」と言ったそうだ。

 F君はお猿の飼い主に「猿を飼っている苦労はわかるけど、話にならないからもういい。」と言って帰ってきたそうだ。
 クレーマー事件など、ホームページで企業を告発するサイトは結構見かけたけど、この話も告発しても構わないくらいだ。

 数日後、またしてもF君はお猿のトラックと遭遇したそうだ。
 お猿がF君を凄い形相でにらんでいたという。
 自分の勤めている会社の看板より、鼻くそみたいな餓鬼のプライドが大きいなんて・・・

第2話 白髪の老人

 朝の通勤ラッシュ時間。
 バスも数分違うだけで座れなくなる。
 会社まで10分くらいだから、苦にならないけどね。

 バス停で二人の女性が乗り込んできた。
 髪は白髪で厚化粧。
 当然と言った感じで「シルバーシート」にどっかと座った。
 そして二人して第一声。
 「超〜〜〜むかつくわよね!!」
 そう、実はこいつらは女子高生なのだ。
 しきりに「むかつく」と言う言葉を連発しながら、その席で化粧を始めた。
 まつげを直したり、マスカラをつけたり・・・

 次のバス停では学生服で煙草を吹かしているやはり高校生か中学生が見える。
 髪は茶髪でピアス。
 バスに乗り込みながら携帯電話で大声で話をしている。
 周りに人がいるということを全く考えているようには思えない。

 猿ども!!超〜〜むかつくのは俺の方だ。

第3話 餓鬼の娯楽

 夜中に会社近くのコンビニに行ったときのこと。
 コンビニの入り口には今にもへどを吐きそうな高校生風(入学できたとは思ってないけど)の猿が一人うずくまっていた。
 かなり酔っているらしい。

 中に入ったら様子が変だ。
 やくざみたいな顔をしているが、あきらかに二十歳そこそこの、太ったお猿の大将と店員さん、そしてお巡りさんが3人で向き合って話をしているではないか。
 夜食を買いつつ、彼らの起した会話を盗み聞きすることに成功した(^_^ゞ

 なんでも飲み会をやって盛り上がり「昔はよく万引きをしたなぁ〜。久しぶりにやってみるか!」と言う話になったらしい。
 ところが100円のおにぎりを盗ったまでは良かったが、相棒が飲んだくれて逃げられなくなってしまい、店員さんに捕まってしまったそうだ。
 警察に通報したあと、お猿の大将は仲間の猿を引き取りに、のこのこやって来たわけ。
 「冗談でやったんだ。だから戻ってきたのに何が悪いんだ!」だとさ。

 万引きといえば、知り合いのスーパーでもしょっちゅう捕まっていると聞く。
 食料品部門ではいわゆる路上生活者のオジサン(通称プータロー)が多いのだが、中学生くらいの女の子もよく捕まるという。
 彼女らがとるものは化粧品関係が多い。
 団体でやってきて盗る連中も多いらしいのだが、もともと頭の良くない子供たちなので、捕まるということを考えていないようだ。
 仲間意識や罪悪感のかけらもないので、例え一人が捕まっても知らん顔だ。

 どうも大量に万引きした商品は友人達に売るらしい。
 援助交際しなくてもお金を稼ぐには万引きすれば良いや!と言った感じか。
 月に親から5千円位の小遣いをもらっているらしいのだが、そのほとんどが携帯電話の通話料に消えてしまって、欲しい物が買えないで困っているそうだ。
 「万引きすれば手に入るので、お金を払うのが馬鹿馬鹿しい」とまで言っていた猿もいるらしい。

 更に先日、ファミコンコーナーでゲームソフトを盗った子供が二人。
 なんと小学生である。
 ゲームが欲しいだけならまだかわいいものだが、万引きしたファミコンソフトや漫画本を、近くの中古屋に持ってゆくとお金になるので、それをお小遣いにするそうだ。
 そう言う情報が小学校にも蔓延しており、友達もよくやっていると言っていたらしい。

 いったい日本はどうなるんだろう?
 壮大なスケールの話を巻き込んでしまい、なかなか結論じみたことを書けないのだが、後編に続いてしまうのだ。

<99/12/17>

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