商街冊

 今回のお題で有る「商街冊」の解説については、文章のかなり後に出てくるのでご了承願いたい。m(_ _)m

 先日、会社の同僚と飲んだ時、不覚にも泥酔してしまった。
 気がつくと、知らない駅のホームに立っていた。

「何で自分はこんなところにいるのだ?」

 話は簡単だ。
 電車の中で寝てしまったと思うのだが、そのうち目的の駅でも無いのに「電車を降りないといけない」と思って下りたのだろう。

 幸いな事に、財布も携帯電話も有ったので、弟に連絡を取り、家に帰る事は出来た。
 ただ、「鞄」が無くなっていたのだ。

 これまた幸いな事に、その日は会社で使っていたいらないものを持って帰るため、鞄の中には書類類いは入っておらず、明日からの仕事には全く支障をきたすことはない。
 鞄自体は、某自動車の試乗会に行った時貰った安物の鞄で、毎日重い辞書などを運んでいたため、肩掛の紐も切れてしまっていた。
 そろそろ買い替えようと思っていたボロ鞄だから、惜しくも無い。
 妙な安心感は有ったものの、やはり鞄を無くすと言うのは、気分が良い事ではない。

 ちなみに、鞄の中に入っていたものは・・・

















1 Apple iPod


2 IEEE1394式 CD-RW(このケースにドライブが入っている)

3 生CD-R Disk 7枚


4 韓国語ジャーナル4号


5 DVDビデオ 1枚「猟奇的な彼女」

6 韓国のコメディードラマのVHSビデオ 1本

7 筆箱

8 自分で作った単語帳

9 韓国語学校の申請書

大損害だ〜(ToT)

 1〜7までは、金を出せばまた買い直せる物だし、自分のミスだと思えばあきらめも付く。
 だが、8の単語帳は違う。
 2年間こつこつと書きためてきたもの。
 日常でこれを開く機会はほとんど無いと言って良いのだが、思い出の詰まった「記念品」であり、私が韓国語を勉強しているという「証」でもある。
 私が数日間凹んでいたのは言うまでも無い・・・

 鞄を無くして3日ほど経ってから、母親からmailが入った。
 某私鉄の落とし物センターに、私の鞄が届いているというではないか\(^o^)/
 私は仕事を終えた後、喜び勇んで落とし物センターに行き、鞄を受け取った。
 拾ってくれた人は「お礼はいらない」といっていたらしく、誰がどんな状態で拾ってくれたのだか、分からなかった。
 韓国語学校の申請書に自分の住所や電話番号が書いてあったおかげで、ボロ鞄は無事返ってきたのだ。

 駅のホームで鞄を開いて見る。
 iPodも、CD-RWも、雑誌も、単語帳もDVDも入っていた。
 ただ、ビデオテープと生CD-Rメディアだけが入っていなかった・・・
 まぁ、良いかと思って鞄の中をもう一度見て見ると・・・


なんだこりゃ?

 貰った記憶に無い「商街冊」が3冊入っていた。

sang-ga-chaeg:商街冊

 「商街冊=sang-ga-chaeg」とは、在日韓国人や、韓国人留学生向けの情報誌で、韓国系のお店に行けば無料で手に入る。
 「商街冊」と言う言い方の他に、「生活情報誌」という言い方も有るそうだ。

 内容は日本で手に入る食品情報、アルバイト情報、日本文化の紹介など、多種多彩。
 中には「エステ嬢募集」「旅券必要なし」など、かなりやばい内容も書いて有るし、辞書には載っていない隠語もかなり書いて有るので、中上級の学習者にとっては、良い教材になると思う。

 話は戻るが、なぜこの「商街冊」が私の鞄に入っていたのだろう。
 あの日は確かに韓国系のお店に行ったし、その町は韓国系の店が沢山あるので、駅に行く途中、自分で鞄に入れたのかも知れない。
 もしかすると、拾ってくれた人が「韓国人」で、これでも読んで勉強しろ!と言う意味で、入れてくれたのかも知れない。
 拾ってあげたお礼?代わりにCD-Rメディアと、ビデオテープを持って行ったのかも知れないが、それはそれで良い。

 私の鞄を拾ってくれた方、本当にありがとうございました。 

<03/04/06>

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