第三の「お」

 上に並んでいるHangulの中に、一つだけおかしなものが有る。
 韓国語の基礎を習った人や、私のWebPageを継続してご覧になっている読者の方なら、すぐにでも分かる事だと思う。
 そう、一番右側のHangulみたいなやつが間違いだ。
 一見Hangulっぽいが、母音と子音を位置が違ったりすると、本来「発音記号」であるHangulは発音できなくなってしまう。

 話は数カ月前にさかのぼる。
 私は今年から某大学の韓国語講座を受講する事になったのだが、その学校の先生は凄い方だ。
 一言で言えば、本当の発音をするネイティブというべきか・・・
 勢いとはったりで会話をしてきた私は、発音に関して注意を受けた。
 「それではネイティブには意味が通じない」と・・・(-"-)

 Hangulの母音の中には、日本語の「え」に近い発音のものが複数存在するのだが、ネイティブでも特に区別して発音しているのはアナウンサーくらいなので、気にする必要はあまり無いと教わってきた。
 だが、その先生はいい加減な発音が凄く聞きづらいと言うのだ。
 また一からやり直しと言う気分になった(^^;

 中でもショックを受けたのが、第三の「お」についてだ。

 1と2は、韓国語を勉強したことの無い人には、どちらも「お」に聞こえるはずだ。
 1の「お」は、口を大きく開けて「お」と発音する。
 2の「お」は口を尖らせて「お」と発音する。

 ところが、ある特定の単語の中には「1」の「お」と言うスペルでありながら、口を大きく開けずに発音する「第3のお」が有ると言うではないか!
 そんな話全く聴いた事も無い!!
 先生は、この「第3のお」の代表的なものが「無い」という単語をだとおっしゃった。

eob-dda (物が)無い、(人が)いない

 今まで「無い」という単語を「おぷた(eob-dda)」と発音してきたが、先生曰く語頭は口を大きく開けず「お」と発音するため、「お」と「う」の中間に聞こえる。
 あえてこれをHangulで書くと・・・

 ・・・・(-"-)

 そういえば、心当たりが有る。
 中国人だが韓国語を話す「朝鮮族」の方とお話をした事が有るのだが、全く聞き取れない単語が有った。
 その方は日本語が堪能な方だったのだが、その単語の日本語が思い出せないと言う。
 ゆっくり発音してもらったら

u-ri-seog-dda

と聞こえた。
 あ?どういう意味だ。
 私は仕方なく、紙に「u-ri-seog-dda」と書いたら、違うと言う。
 その方が言ったのは

eo-ri-seog-dda:間抜けだ、情けない

 これなら習った事が有った。
 その時心の中で「あ〜、朝鮮族だから訛っているんだな。方言なんだな」と思った。
 だけど、今になって自分の知識の無さに気がついた。

<03/07/13>

補足

 ソウル在住の先生からも指摘があったのですが、「無い」という発音を、「第三のお」で発音するという話しは聞いたことが無いそうで、ソウル出身と言いながらも言葉は訛っているのではないかということでした。

<04/05/23>

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