今から4年ほど前の話である。
私の通っていた学校では、月に一度、学生の理解度をチェックする「実力テスト」というものが行われていた。
私の記憶では韓国語を勉強し始めて2ヶ月目、第2回目の実力テストの日のことだと記憶している。
学校に登校すると、皆そわそわと落ち着きが無い。
テスト直前であるから仕方ないのだが、どんな問題が出るのか想像もつかないので、皆必死に授業中に取ったノートや単語帳を眺めていた。
その事件は、エレベーターの中で起こった。
エレベーターの中には5人ほどの学生が乗っていたのだが、クラスメートがこんなことを言い出したのだ。
「あっ!○×△って単語、どんな意味だったっけ?」
エレベーターに乗り合わせた学生は、一同に顔を見合わせ、口々にこう言った。
「知らない・・・」
「分からない・・・」
焦ったのはクラスメートである。
間も無く試験が始まるのに、頭に浮かんだ単語の意味が思い出せないのだ。
皆「知らない」と言われると、なおさら気になるのが人間である・・・
クラスメートは頭を抱えながら、教室に入って行ったのだった。
この話は、私が実際にそのエレベータに乗り合わせた時の話だ。
その時、クラスメートが質問した単語とは何だろう?
ちょっと簡単すぎたかな?
だじゃれに近い問題だが、ほんの少しだけ読者の皆さんも考えてもらいたい。
クラスメートがエレベーターを下りた時、皆笑ったと思う。
いや、彼を馬鹿にした訳でも、意地悪で答えを教えなかった訳でも無い。
その単語とは
mo-reu-da:知らない、分からない
その場にネイティブの先生がいれば、クラスメートの勘違いであると言うことに気付いたかも知れないのだが・・・(^^;
実は同じようなことはもう一回あった。
ある先生が授業中に韓国のポップスを聞いてみようと、オム・ジョンファのヒット曲を流した。
先生がその曲を聞かせてくれたのは2回目だったので、聞き覚えがあった。
この歌のさび部分に「mol-ra!」と言っていたのを聞いて、やはりクラスメートが「mol-raって、どういう意味ですか?」と質問をした。
先生は笑って「分からない」と答えたのだが、一瞬クラスメートは理解できなかったらしい。
他のクラスメートが念を押すように「だから分からないと言う意味だよ」と言ってくれて、初めて理解したようだ。
mol-ra!:「分からないわ!」
「 mo-reu-da」と言う単語は、次に来る構文の中で変化する「変速活用」単語なのだ。
どこかで聞いたことがあるのに思い出せないというのは、老化現象ではないらしい。
ただ、他の国の言語をやっていて、勉強したことがあるのにどうしても思い出せないと言うのは非常に歯がゆかったり、やきもきするものだ。
結局、使わないと身に付くものでも無いし、記憶は薄れてきたりする。
逆にこう言う経験をしながら覚えた単語と言うのは、なかなか忘れられない。
韓国語を習って4年になるので、おそらく数千個の単語を記憶していると思うのだが、中には非常に恥ずかしい失敗をして覚えたものや、試験でスペルミスをして「なんで分かっているのに書けなかったんだ!」と落ち込みながら覚えた単語、美人の先生から優しく教えてもらった単語や構文がある。
その単語一つ一つを見ると、覚えた頃の状況が頭によぎる時がある。
この「役に立たない韓国語」で書いているほとんどの言葉は、そういう「単語を覚えた時の思い出」を書いている部分が多いと思う。
最近、もうすぐ桜が開きそうな春を感じる陽気になり、4年前韓国語を勉強し始めた頃の、ちょっぴり楽しくもあり、懐かしい体験を思い出しながら、今回のコンテンツを書くことにした。
今年も新しい学校に行って勉強することにしました。
これからも韓国語の勉強を長く楽しく続けて行きたいと思っています。
<04/03/19>
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