会社の先輩と雑談をしていた時の事。
その先輩が若かりしころ、少し変わった先輩がいたというのだ。
なんでも、その先輩の先輩は新潟県の元武家の家に産まれ、非常に厳格な家庭環境で育ったため、自分の両親や目上の方の前ではタバコも酒も飲めないらしい。
ふ~んそういう人もいるんだ・・・
何だか韓国人の風習みたいだ。
内心そう思っていたところ、先輩の口から驚くべき単語が飛び出したのだ。
その先輩は、自分の母親を「おもうさま」と呼んでいたというではないか!
これは「わったがったの大騒ぎ」以来の大発見かも知れない!
「猟奇的な彼女」という映画の中で、主人公キョヌが、酔い潰れてしまった彼女を自宅まで送り届けるというシーンがある。
当然の事ながら、キョヌは彼女の両親から事情聴取(?)を受ける。
キョヌは彼女の父親から酒をつがれたので、横を向いて飲もうとしたら、そこには彼女の母親がいて、慌てて反対側を向いて酒を飲むというシーンがあった。
猟奇な彼女のストーリーは日本人が見ても分かり易いと思うが、彼女の両親と主人公のやりとりは、韓国の文化背景を知らないと「何やってるのだ?」と感じたに違いない。
韓国では儒教の影響で、目上の人の前で煙草や酒を飲んではいけないという風習がある。
目上の人に酒をつがれた時は、キョヌがやったように、横を向いて隠すようにして飲むのが礼儀。
また 、同輩の間柄で向かい合って煙草を吸うことを「マッタンベ」というのだが、「マッタンベ」は目上の人の前でやってはならないこととされている。
tam-bae:煙草
mad-ttam-bae:向かい合って煙草を吸う
この煙草の前に付いているmadと言うHangulは、元々「相対して」「差向いに」「互いに」と言う意味の
ma-ju
が縮まったものだ。
Hangulにはパッチムと言う物があるが、もともとはもっと長い単語だった物を、時間的経済性の為、このような形で縮小されたと思われるHangulもいくつか知っている。
機会があればまた触れてみたい話題であるし、日本語には無いパッチムの存在意義を知る上で非常に興味深いことだと思っている。
さて、やっとタイトルの話。
韓国語で母親を「オモニ」
eo-mo-ni:母親、おかあさん
と言うのだが 、その尊敬形「お母様」に当たる単語が「オモニム」だ。
eo-meo-nim:お母様
この単語の最後のハングル「nim」は、日本語の「様」にあたるもので、目上の人や、尊敬に値する職業には必ずといって良いほど、この「nim」が付けられている。
先生様
先輩様
つまり「おもうさま」とはそのまま韓国語の「オモニム」という意味だったのだ!
新潟にもかつて、韓国との文化的な交流が有ったという証なのでは?
もしや韓国語と日本語が同じウラル・アルタイ語に属するという証明では?!
これは凄いぞと、思ったのだが・・・
わずか1秒後 、私のロマンはもろくも崩れ去ることとなった。
その新潟の先輩は、父親のことを「おたあさま」と呼ぶと言っていたそうだ・・・(-"-)
私の頭の中で新たな結晶性知能が回転を始めた。
「おもうさま」とは韓国語ではく「御母様」という漢字を、特殊な読み方をしただけだったのだ。
※ 母と言う漢字は「はは」「ば」「ぼ」と読む事が多いが、「雲母」という単語では「うんも」という読み方もある。
日ごろ、役に立たない韓国語のネタばかり考えているため、時にはこういう勘違いもあります(^^;
<04/05/20>
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