ストーカー

 韓国には「10回叩いて倒れない木はない」という諺(ことわざ)がある。

 何度失敗しても、あきらめず努力を重ねれば、必ず成功するという意味と捕らえても良いと思うが、実はニュアンスがちょっと違う。
 「どんな女も10回アタックすれば落ちる」ということなのだ。

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 諺の話しはちょっと置いておいて、次の歌詞をご覧になってもらいたい。

 ここで注目してもらいたいのは「」という単語だ。

 この単語は「」と言う風に二つ続けると「うろうろ(歩き回る)」という擬態語になるのだが、韓国パブのお姉様に解説してもらったところ「彼女の家の前とかで待ち伏せをしていて、彼女が来るのをうろうろしながら待っているが、その彼女には決して会わないでいる状態」だという。
 日本語にすると、なんとも説明的になってしまうが、それを「」一言で表現してしまうところが面白い。
 一見、一対一のように翻訳できそうな日本語と韓国語であるが、単語一つが持つ守備範囲の違いや、細かいニュアンスを理解するのは、外国人にとって非常に大変ではあるものの、誰でも避けて通れない点でも有る。

 しつこく付きまとって交際を迫る人間を「ストーカー」と言うが、韓国で警察にストーカー被害を訴えても、あまり真剣に取り合ってくれないという話を聞いたことがある。
 なぜなら「10回叩いて・・・」という風習があるので、警察もこの諺を持ち出し早々にお引き取り願うというのだ。

 これも韓国人の先生から聞いた話だが、以前とあるストーカー男が先生の友達Aさんにつきまとっていたという。
 Aさんは意を決して、ストーカー男と対決する事にした。
 ストーカーを喫茶店に呼び出し「どういうつもりでつきまとっているのか?」と問い詰めたところ、相手は口ごもって何もしゃべらなかったが、カバンの中から大量の写真が納められたアルバムをとり出し、Aさんに見せた。
 もちろん、その全ての写真にはA子さんが写っていた。
 男は付きまといながら、A子さんを隠し撮りしていたのだ。
 男は一言「君が好きで・・・」
 その後A子さんは、ストーカー男の熱意?に負け、彼と結婚してしまったそうだ。

 韓国人は「アジアのラテン民族」と呼ばれるほど、意中の異性と付き合おうと思ったら、何度振られてもあきらめず、情熱的にアタックするというが、その裏側には、「」が表すように、自分の気持ちを「恨(ハン)」として募らせているということだろう。

 ドラマ「冬のソナタ」が、これ程まで日本でヒットした背景には、日本のドラマがうわべの派手さ、カッコ良さ、肉体的刺激、人をあざ笑うといった安直なストーリーばかりになっていたため、純粋に人を好きになるという気持ちを、思い出させてくれたからではないかと思う。

 ストーカーも愛の表現であると言いたいところだが、一方的で独善的な「愛の押し付け」はいけません!

<04/06/21>

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