マッチ

 つい最近習った言葉なのだが、人間の記憶動作の中に「結晶性知能」というものが有るそうだ。
 まず、一般的な記憶知能と言うものを説明してみよう。
 例えば韓国語で子守歌を何と言うか?と言う質問を受けたら、頭の中に記憶している「子守歌」にあたる韓国語の単語をひき出して答える。

 答えは「チャジャンガ」

ja-jang-ga:子守歌

 これは単純明解な一対一の記憶を引き出す動作だ。
 ところが、人間30歳を超えるころから「結晶性知能」というものが発達してきて、質問に対する一対一の答えを出すだけでなく、それに関連した色々な記憶もまとめて引き出されてくる。

 例えば「チャジャンガ」を眺めてみると、最初の「ja」は寝ると言う動詞「チャダ」から来ているのだろうと想像する。

ja-da:寝る

 次に来る「jang」とは「場所」と言う意味の「場」という漢字語だろうと想像し、最後の「ga」とは「歌」と言う漢字語だろうと想像がつく。
 だから「寝場歌」なのだろう。

 そういうあてずっぽな想像をしてから辞書を引くと、最初の二文字は固有語で、私が想像した漢字語の部分は最後の一字だけであることが分かった。
 そして最初の二文字は子供を寝かしつける時の「ねんねん」という言葉であると書いて有る。

ja-jang ja-jang:ねんねん(寝かしつける時のあやす声)

 つまり最初の二文字の想像は、これまでの知識から出てきた「結晶性知能」と言えるかも知れない。
 言ってしまえば、余計な想像なのだが、このような想像が働くと、次に「子守歌」のことを思い出す時、記憶した時の物語が思い起こされるとも言える。

 このように、一つのキーワードから想像される記憶が、一対一の答えだけでなく「結晶化された塊のように」取り出されてくる知能能力を「結晶性知能」と言うようである。

・・・・なんて難しいことを書き始めたが、この「結晶性知能」の話しも、最近韓国クラブに行った時覚えた一つの単語から、一本のエッセイを書くための「パーツ」なのである(^^;

 隣に座っていた日本人グループが、チェッカーズの「ギザギザハートの子守歌」を歌っていた時、ふと「子守歌」という単語を知りたくなった。
 そういう時、目の前に「先生」がいるじゃないですか!
 早速、お姉さまに「子守歌って韓国語で何て言うの?」と質問してみた。
 するとお姉さまから「子守歌ってなに?」と逆に質問されてしまった。
 日本語の単語が少ない韓国人お姉さま相手の時は、同然のことながら、今まで習った知識と単語を駆使して質問をしなければならない。(これがまた勉強になります。)
 私は上手く質問することが出来なかったが、友人は「子供を寝かせる時、歌う歌を何と言うか?」と言ったところ、お姉さまは「それはジャジャンガよ」と教えてくれた。
 聞き取った単語が間違いないか、メモを取ろうと思ったが、ボールペンが有るのに紙がない。
 え〜い、手に書いてやれ!

 こうやって人の口から聞いて、手で書いて覚えた単語と言うのは、覚えた時の思い出までくっついているので、結構ドラマチックで忘れないものだ。


こんな感じにね!

 隣の日本人グループが、今度は近藤正彦の「スニーカーブルース」を歌い出した。
 あぁ、好きな歌ではないけれど、懐かしいなぁ。
 「ところで「マッチ」ってなんだっけ?」
 私が突然そんな質問をするもんだから、友人「両津氏」は「近藤真彦だろ」と答えた。
 「違う、違う、火をつける時使うマッチを韓国語で何と言うんだっけ?」
 両津氏「また突然そんなこと言って。思い出せん!!」
 それでまた、お姉さまに質問。
 「それはソンニャンよ!」
 メモメモ・・・
(上の写真、中段に書かれている二文字がマッチの韓国語「seong-nyang」。
 最下段に書かれているのは、お姉さまのお名前(。☆)\(-_-#)

 そういえば、近藤真彦もずいぶん昔、韓国に渡ったことが有るらしい。
 ハンドルネーム「フネさん」から貰ったメールの中に書かれていたことなのだが、「フネさん」が韓国に行った時、担当した韓国人ガイドが、「マッチ」を「あまりにもそっけなくて、印象が悪かった」と言っていたと書いて有った。
 おそらく、日本と言う狭い国なのにもかかわらず、自分は日本の大スターであると自意識過剰になってしまったのだろう。
 そういう部分が韓国の人の目から見て、あまり良い印象を与えなかったのだと思う。
 逆に、私が良い印象を持たなかった韓国人俳優は・・・(次回に続くかも)

 今回はちょっと趣向を変えて、この「役に立たない韓国語」がどのように作成されているか紹介してみました。
 このような日々のやり取りと、読者からのファンレター、そして私が勉強している知識が渾然一体となり、結晶性知能をフル活用して「役に立たない韓国語」を書いているのです。

 年をとってから語学を始めるのはきついことです。
 なにしろ、記憶力が悪いですからね・・・
 ですが、30歳から発達すると言われる「結晶性知能」をフル活用することによって、語学も楽しく勉強することが出来ると言う訳でございます。

 語学は楽しく、そして気長にがモットーです。

<04/07/09>

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