常々、韓国語のイントネーションと「大阪弁」のイントネーションは非常に良く似ていると思っていた。
もちろん日本で習っている韓国語は主に首都ソウルで使われている「標準語」なので、私が「大阪弁」と似ていると言うのは、韓国の「標準語」と聞き比べてと言った方が良いのだろう。
「標準語」と「方言」を韓国語で何と言うか。
まず漢字語で考えると以下のようになる。
pyo-jun-eo;標準語
pang-eon:方言
しかし、上の単語をネイティブに使ったところ、相手は一瞬とまどい「今何て言ったの?」と言われた時が有った。
発音が悪かったせいも有るだろうが、どうも非常に文学的で、辞書や論文などに出て来るかしこまった単語らしく、日常ではあまり使われないようだ。
それでは「標準語」と「方言」を分かり易く言いたい時は、何といったら良いか。
「水割大学」の「えり」先生に質問したところ、「ソウル普通言葉」と「訛り(なまり)」と言う答えが返って来た。
seo-ul po-tong-mal:ソウル普通言葉(意訳)
sa-tu-ri:訛り、方言(固有語)
韓国にも日本同様、複数の方言があり、喧嘩をしているように聞こえる方言も有れば、単語自体が標準語と違うため、全く聞き取れない方言も有る。
そういう時、私はこう言う。
訛りがきつくて(ひどくて)聞き取れません!
ほとんど言い訳、泣き虫モードだ(ToT)
ちなみに、上の文章で「聞き取る」という意味で使っている
al-a-meog-dda
は、
al-a-deud-dda:理解しながら聞く=聞き取る
のちょっとくだけた言い方なので、目上の人に使うのは避けた方が良いだろう。
脱線ついでに「江戸っ子」「浪速っ子」にあたる単語も紹介しよう。
出身地の後に
to-bag-i
と言う単語を付ければオーケー。
例えばソウル出身なら
seo-ul to-bag-i:ソウルッ子
となる。
この「to-bag-i」を分解してみるとあら不思議。
to:土(漢字語)
bag-dda:根づく
= bagi:根づいた人
つまり、その土地に根付いている人と言う意味であることが分かる。
ガッテン、ガッテン、ガッテン!
何の話をしてたんだっけ?
あぁ、大阪の話をしてたんだ。
以前、大阪で煙草のことを韓国語そのままに
dam-bae:タンベ=煙草
と言うと聞いたことが有ったため、もしかすると大阪はイントネーションだけでなく、東京より韓国語の単語が生活に根付いているのではないかと思った。
そこでファンレターを頂いた大阪トバギ「JUN」さんに質問して見たところ、イントネーションに関する意見は一致したものの、大阪に根付いている単語に関しては、どうも私の想像とは違う結果になった。
JUNさんによれば、
bag-chi-gi:パッチギ=頭突き
など、いくつか心当たりのある単語があるものの、全国放送のドラマにも出て来た単語なので、大阪に限らない全国区の言葉だろうと思っていたそうだ。
しかし、現在その言葉もほとんど耳にすることは無いと言う。
これはおそらく、かつて朝鮮学校周辺の日本人が真似をしていたか、学生が陰語としてその単語を使用していた可能性が濃厚だ。
ただ、JUNさんから、面白い指摘があった。
私が好きな映画「猟奇的な彼女」の中にも出て来たが「彼女」が電車の中で打っ倒れる直前、主人公「キョヌ」に言った言葉。
ja-gi-ya
このように、恋人関係にある男女が相手のことを「チャギ」と呼ぶことが有る。
この「チャギ」には幾つか同音異義語が有るが、その中に一人称代名詞の「自分」と言う意味が有る。
同様に、大阪では親しい間柄で有る場合、標準語で一人称代名詞である「自分」を、二人称代名詞として使用していると言うではないか。
JUNさん曰く、大阪弁で言う二人称代名詞「自分」は、『おまえ』より少し柔らかな表現だと感じているそうだ。
もちろん、これだけで大阪弁が標準語より「韓国語」に近いという証明にはならないが、面白い共通点であるとは思う。
それにしても、大阪弁の「自分」が「おまえ」より少し柔らかいと感じるというのは、同じ日本人でありながら、別の言語のようで、なかなか理解しにくい部分では有りますが・・・
<04/07/13>
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