先日予習のため、韓国語学校で使っている教科書を眺めていたところ、こんな文章が書いて有った。
ちょっと長い文章なので、文法説明や単語解説は行わないが、これを翻訳すると
まさか、生きている人間の口に、クモの巣なんて張れないでしょ?
となる。
なんともおかしな文章だ。
おそらくこれは韓国語の慣用句に違いない。
「人の口にクモの巣を張ることができない」とはどういうことか、想像力を働かせてみて欲しい。
私はこの慣用句を見て、日本で見慣れた諺(ことわざ)を想像した。
きっとこれは「人の口に戸は立てられない」→「悪い話しやうわさ話を防ぐことは出来ない」という事なのだろうと・・・
ところが、この慣用句にはもっと深い意味が隠されていたのである。
じゃじゃじゃじゃ〜ん!(BGM ベートーベン「運命」)(^^;
さて、先生が上の一文の解説を始めた。
私はてっきり「この慣用句にあたる日本の慣用句を言ってください」と言う質問が出るものとばかり思っていたのだが、私の想像は間違っていた。
先生によれば、
生きている人間の口は動くものだから、蜘蛛はクモの巣を張れません。
クモの巣を張れるとしたら、それは死んでしまったと言うことです。
つまり、あなたは今、物凄く辛く、苦しいかも知れないけれど、食べるために口を動かすことはできる。
その力はまだ残っているのだから、まだ頑張れるのです。
相手に頑張ってください!という時使う言葉なんです。
なるほど!そう言う深い意味が込められた言葉だった訳だ。
この慣用句を見たクラスメートの中には、やはり私と同じような想像をした人もいたので、話しの矛先は日本の諺にシフトした。
それじゃ「人の口に戸は建てられない」にあたる慣用句は韓国に有るのだろうか?
先生に質問したところ、今一つばっちり合う慣用句が出てこなかったため、先生は校長先生まで連れて来た。
そこで出てきた慣用句は
足の無い馬、千里を行く
であった。
足が無い「馬」が千里を走るはずもない訳だが、これはちょっとした同音異義語のお遊びだ。
ここに出てくる
mal
とは、馬を表すハングルであるが、同音異義語に「言葉」という意味も持っている。
つまり、悪いうわさ話などは、あっという間に広がってしまうので、押さえようが無い=「人の口に戸は建てられない」と言う意味なのだ。
慣用句は非常に面白いし、その話の中に歴史を感じる。
また面白い慣用句が有ったら紹介して行きたいと思う。
<04/08/05>
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