ミ〜ン、ミ〜ン

 2002年、私が初めて韓国旅行に行った時のこと。
 うだるような暑さの中、蝉の鳴き声が聞こえてきた。
 昼間鳴いている蝉だったので、みんみん蝉か、アブラゼミのどちらかだったと思うが、日本の蝉と鳴き声が少し違っていた。
 何と説明したら良いのだろう。
 「みんみん」だか「ジー」だか鳴き声はほぼ同じなのだか、鳴き声の周波数が違うと言う感じ。
 韓国語で鳴いているのかな(^^;

 さて、蝉を韓国語で言うと

mae-mi:蝉(せみ)

である。
 これは蝉の鳴き声から出来た言葉だと推測できる。
 韓国人の耳には蝉の鳴き声が「めん、めん」と聞こえるらしい。

:めん・めん・めん・・・

 おそらく蝉という言葉の原形は

で、「めんめんと鳴く動物」という意味で、鳴き声の「maem」に、擬音を名詞化する「i」を付け、その後パッチム「m」が「i」にリエゾンして有声音化、現在のスペルになったのだろう。

 同じような動物は他にもいる。
 犬は普通

gae:犬

だが、鳴き声は

:meong,meong:モンモン

と聞こえるそうだ。
 そのため、子供言葉で犬のことを

:meong-meong-i

と言うことが有る。
 これは日本語でも子供に「わんわん」と言うのとほぼ同じだと思う。
 他にも例を挙げればキリがないが、世界の言葉で動物の言葉を見比べて見るのは結構おもしろいと思う。

 それじゃ、テレビなどのサブカルチャーを全く見せないで育てた子供に、あえて「わんわん」だとか「ニャーニャー」とかいう子供言葉を全く教えず、「今この動物は何と鳴いたか表現して見ろ」と言ったらどう答えるだろうか・・・
 どなたかそう言う実験をやった方がいたり、そういうレポートが有ったら教えてもらいたい。

 動物の鳴き声は、全世界ほぼ同じだと思うが、その国ごと固定された鳴き声と言う物が有る。
 他国にの人間が聞くと、若干印象は異なるだろうが、まるっきり外れている訳ではないのだから、文句を言うことではない。
 昔からそうなっているのだから。

 問題はここからだ。
 言葉には「擬音」という物が有る。
 例えば「星がきらきら輝く」の「きらきら」とか。
 星は光っているが「きらきら」と音を発している訳ではない。
 本来無音であるはずの「音」を表現する「擬音」を覚えるのは厄介である。
 いちいちその状況ごとに覚えないとならない。

 「この道をずっと行って下さい」とか、「ずっと向こうにあります」の「ずっと」を、どう表現するか?
 答えはこれ。

jug:ずっと

 それじゃもっと大げさに、「この道をず〜〜〜〜っと行って下さい」とか「ず〜〜〜〜〜と向こうに有ります」と言いたい時は?
 韓国語でも同じように

~~~~~

となるそうだ(^^;
 もちろん、こう言うオーバーな表現は、主に話し言葉の中で使われているのだけど、以前通っていた学校で「真直ぐ行って下さい」を

~~~~~ 

と表現したら、お爺さん先生が苦笑いをしてしまった(^^;
 模範解答は下記のとおり。

 

----------

 それでは「車のウインカーが光ってっています」を擬音を使って表現するとどうなるか?
 例題にも出したが、星の輝きを日本では「きらきら」と言うことが多いと思う。
 韓国語で、この音に聞こえないはずの擬音を

  bban-jjag-bban-jjag:ぱんちゃっ、ぱんちゃっ

もしくは

  ban-jjag-ban-jjag:ぱんちゃっ、ぱんちゃっ

と表現する。

 さて、車のウインカーは「きらきら」と光っているか?
 どちらかと言うとピカピカかな?
 チカチカ?
 カッチンカッチンかな・・・

 韓国語では

  ggam-bbag -ggam-bbag :かmぱっ、かmぱっ

もしくは

  ggam-bag-ggam-bag :かmばっ、かmばっ

だそうだ。

 更に一歩踏み込んで見ると、上の擬音は一部が「濃音」であるか「平音」であるかの違いしかないのだが、韓国人の耳には「濃音」「激音」「平音」という音の強さ?の違いで、そのレベルが違って聞こえるそうだ。
 日本人が「きらきら」と「ギラギラ」のイメージが違うように聞こえるのと似ているが、そういう「擬音」のイメージと言うのは、生れ育っている間に沢山の実例を聞き、使っているうちに体に染みつくものである。

 すでに韓国に帰ってしまった先生の話だが、やはり擬音は外国人にとって非常に高い壁だと言う。
 その先生は日本での生活が数十年経っており、逆に韓国語を話さなければ100人が100人日本人だと思うほど、日本語が堪能な方だった。
 それほどの先生が「思い出ぽろぽろ」と「思い出ボロボロ」の違いや、「岩がころころ」と「岩がゴロゴロ」のイメージをつかむことが出来なかったと言う。

 今理解できなくても、(もしかして死ぬまで理解しなくても)気長にやっていればいつか、そのしっぽくらいは理解できるかも知れない。

 おっと!ちょっとお勉強ぽい話しを書いてしまった。
 ウインカーの話の続き。
 韓国語でウインカーをどういうか?
 コングリッシュ(韓国英語)で

wing-keo:ウインカー

とも言うが、

ggam-bbag-i:ウインカー

ともいうそうだ。
 無理やり訳すと「カッチンカッチン機」かな?
 ん〜、やっぱり擬音は分からん!(ToT)

<04/09/07>

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