オクトパス

 今日、韓国語学校で「受験」の話題が出た。
 私は見ていないのだが、韓国の「センター試験」が行われたと言うニュースが流れていたそうだ。

 私は大学に行っていないので、そういう苦労はしたことが無いが、韓国人にとって大学入試と言うものは、人生を左右する大きなイベントであると言う。
 それが故に、受験生とその親はもちろん、社会全体が一丸となって大学入試試験をサポートするそうだ。

 韓国版センター試験は、漢字語で「修学能力試験」

su-hang-neung-nyeog-ssi-heom:修学能力試験

というそうだが、ちょっと長いので

su-neung-si-heom:修能試験

と省略することが多いとのこと。
 この日、受験生が試験開始時間に遅れないため、会社の始業時間を少しずらし、渋滞などが起きないようにするそうだ。
 それでも寝坊して、遅刻してしまいそうな人間が出てくる。
 毎年のようにテレビで見る光景らしいのだが、なんと遅刻しそうになった受験生を白バイに乗せて、試験会場まで送ることも有ると言う。

 先生曰く

 そういうことをする学生は、白バイに乗ればテレビにも映るし、一種のパフォーマンスでやっているのではないか

と、冷ややかな目で見ているらしい・・・

 受験会場の前では、子供たちが無事大学に受かるようにと、受験生の親が

cheol:チョル

というお祈りを行うそうだ。
 その人数が半端ではなく、そういう文化を知らない日本人の目から見ると、一種異様な光景に見えると思う。

 以前、受験生の親が、我が子の合格祈願のため、学校の壁などに飴やもち、ガムなどを、くっつけるという話を聞いたことが有る。
 これは「(試験に)受かる」と言う動詞と、べたべたしたものが「くっつく」という動詞が同じなので、一種のおまじないだと言える。

)  si-heom-e bud-dda:試験に受かる

)  ddeog-i bud-dda:(餅が)くっつく

 先日、ネイティブの先生に、現在もこのようなおまじないをやっているか質問したところ、餅や飴がくっついた壁が汚らしく見えるのと、後片づけが大変だと言う理由から、最近では行われていないと言う。

 話は変って、日本の受験生の間で、タコの置物を受験のお守りにすると言う話を聞いた。
 正直、どういう意味が有るのかと思ったのだが「タコの置物を置くと(オクト)、受験に合格(パス)する」というだじゃれから来ているそうだ。

 ちなみに韓国語でタコのことを

nag-jji:タコ

というが、このような「だじゃれ」を、外国語で説明するのは非常に難しいと思うし、説明を受けた外国人も、日本の文化背景?+高度な言語能力?を持っていないと理解ができないと思う(^^;
 ところが韓国にも「オクトパス」のような、だじゃれ系アイテムをプレゼントする習慣が有るらしい。

 それでは、次のプレゼントには、どんな意味が有るか考えてもらいたい。
※ 韓国語がわからなければ答えが導き出せないものも有ります。

1 フォーク

2 ちり紙

3 ラバーカップ

ちょっと考えて見よう!














 さぁ、回答編である。
 まず、1番の「フォーク」だが、実際先生ももらったことが有るとのこと。
 これは「ちゃんとした答えを、選びなさい」という意味だそうだ。
 ちょっと分かり辛いかも知れないが、フォークや、判子を突くという動詞は

jjig-dda:(ハンコを・フォークで)突く、

である。
 まず、フォークで食べ物を突き刺している光景を想像してもらいたい。
 フォークでものを食べる時、食べたい物を的確に突き刺さないとならない。
 ここから転じて、答案用紙に書いて有る解答を「的確に選ぶ」という意味合いが有るそうだ。
 だから、このプレゼントを渡す時

  :問題をきちんと突き刺しなさい[直訳]

と、言うそうだ(^^;

 先生に「試験会場にフォークは持ち込めますか?」と聞いて見た。
 もちろん冗談だ(^^;
 先生曰く

 まぁ、凶器ではないから、持ち込むことは出来るでしょうけどねぇ、実際持ってくる人はいませんよ(^^;

とのこと。
 いうなれば、鉛筆のお尻を削って数字を書き、サイコロのように転がしているような意味合いも有りそうだ。
 このプレゼントを真に受け、試験用紙にフォークを突き刺している姿を想像すると、思わず笑ってしまいたくなるが、当人にとってはしゃれにならない事態かもしれない。

 次に2番目。
 韓国語を勉強していない人には、この冗談がサッパリ分からないと思う。
 ちり紙は鼻をかむ時に使ったりする。
 実は鼻をかむという動詞と、問題を解くと言う動詞が同じなのだ。

  ko-reul pul-da:鼻をかむ

 mun-je-reul pul-da:問題を解く

 だから、このプレゼントは

  jal pu-reu-se-yo:ちゃんと(問題を)解いて下さいね

と良いながら渡すそうだ。

 最後に「ラバーカップ」。
 正直、正式名称は一般的に知られておらず「トイレのペコペコ」という方が分かりやすいかもしれない。
 これは、平成15年度のNHKテレビ「ハンニョンハシムニカ ハングル講座」のドラマに出てきた話しなので、おそらく一般的な「だじゃれアイテム」ではないと思う。
 トイレがつまった時、ラバーカップでシュポシュポすることによって、そのつまった原因となるウ○コやトイレットペーパーが流れる。
 大学の門という、狭き門を多くの学生が通過しようと必死になっている光景を想像してもらいたい・・・

 ドラマの中で、このアイテムを渡された受験生が「これ、どういう意味?」と質問をした。
 主人公は「これで、大学の門を突破しろ!」と良いながら

ddul-eo!:(大学に)通れ!、(試験に)突破しろ!

と、ラバーカップをまるで槍のように天高く突き刺していた(^^;

 他にも面白い受験アイテム、自分で考えただじゃれアイテムが有ったら、教えて下さいませ。

<04/11/18>

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