右側通行

 上の写真を見て、何かお感じなった方はいるだろうか?
 実は、上の写真は先日仙台に出張した時に撮ったものだ。
 写真では分かりづらいと思うが、エスカレーターに乗った人が右に寄っている。
 私は東京の生まれで東京育ちなのだが、いつの頃から、誰から言われた訳では無いのに、エスカレーターに乗る時、特に急いでいないときは「左側に立つ」という、暗黙の了解が体に染み付いているのだ。
 そのため、仙台の人たちが右側に立っているのを見て、違和感を感じたという話し。

 下の写真をご覧になっていただきたい。
 これは、私が平成15年に韓国旅行に行った時に撮影した、エスカレーター前の床に貼られたタイルだ。
 左側は「歩いて行かれる方」右側は「立っている方」と書いてある。

 私はこれを見た時、日本の車は左側通行だが、韓国は右側通行なので、このようにエスカレーターの乗り方も逆になるのだなと感じたのだが…

 ところが、私の知識に大きな落とし穴がある事に気づいた。
 先日、色々な地方出身者が集まる職場の中で、各地のエスカレーターの乗り方?の話しが出たのだが、どうも日本各地でエスカレーターは右に乗るという地方が意外と多いというではないか!
 つまり、日本のエスカレーターは左乗りであるという考えは間違っていたと言う訳である。

 仙台でエスカレータに乗った時、前にいた男性が最初左に寄って乗っていたのだが「あ!仙台は逆だったね!」と連れの人に言っているのを聞いた。
 これは厳格な決まりが有る訳ではないが、その土地ではそれなりにルール化されているということの現れだったのだろう。

 さて、話しは韓国のエスカレーターの話しに戻る。
 上の2枚のタイルの下には


ソウル地下鉄公社


文化市民運動中央協議会

と書いてある。
 エスカレーターなんて、その土地で右に乗っている人が大多数なら、その後についていればなんの問題もない。
 なのに、ソウルではあえて公的機関が「ルール」として明確に指示している。
 この表示をするようになった経緯までは分からないが、「皆が決めたルールに従いましょう」と表示しなければならなかった事件でもあったのかもしれない。

 韓国人の心の中には「黒白論理」と呼ばれるものがあるそうだ。

heug-bbaen-nol-ri:黒白論理

 これはNHKラジオハングル講座2002年2月号に出て来た表現だ。
 小倉先生の説明では韓国人の持っている「なんでも白黒付ける考え」を表していると言う。

 エスカレーターの乗り方一つ、誰かが指示しないと混乱が起きてしまったため、このような掲示をしなければならなかったとしたら、今まで相手を尊ぶ人が多い、儒教の国として知られて来た韓国も、根底から何かが崩れて来ている象徴なのか?と深読みしてみたくなる。

 もっとも、かたや日本では、電車の中で他人に迷惑をかけないようにヘッドフォンステレオの音を大きくしてはいけないだとか、ホームで傘を使ったゴルフスイング練習をしてはだめだとか、いかがわしい服を着てはイケナイだとか、実に馬鹿馬鹿しいことまで注意する法律まで作ろうとする動きが有る。
 権利を主張する前に義務を守らなければならないということは、ごく当たり前の事なのに、日本は敗戦後、物質的に豊かなになった反面、心はどんどん貧しくなっているということか。

 ん〜ん。(-"-)
 仙台出張に行って、エスカレーターの乗りかたの違いを説明したかっただけなのに、なんだか暗い話しになってしまいました。

<05/06/05>

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