雑巾

 昨年、日本を席巻した「韓流ブーム」も一段落したと思うが、まだまだおばちゃま達が読む女性週刊誌には、韓国イケメン俳優達の特集記事が載っていたり、新大久保にある韓国人街に行けば、平日にもかかわらず、韓流スターグッズを求めて、歩き回っているおばちゃま達の姿を見ると、まだまだブームは続いているようである。

 昨年は「冬のソナタ」ブームの影響で、NHKハングル講座のテキスト発行部数が、2倍になったと聞いたことがある。
 しかし、本屋に行って見るとブームの時には2段ほどもあった韓国語に関するテキスト・教科書のコーナーが、今では1段しか残っていない…
 やはりこのブームはイケメン俳優を楽しむのが目的で韓国語への興味は伴っていないと実感してしまう…

 まぁ、ブームなんてものはそんなもので、周りの人が好き好き言っているのを聞いているうちに、ブームに遅れてはならないと、なんとなく好きになってしまった人もいれば、ブームをきっかけに韓国語にはまってしまう人もいるのだから、韓国語を勉強している人間としては、韓流ブームが今後どうなるかも興味があるところである。

 さて、韓国では今、日本ブームであるというテレビ番組を見たことがある。
 某番組では

il-ryu:日流[漢字語]

という表現をしたり、

Nippon feel:日本フィール

と表現していた。
 韓国では日本風の居酒屋が売り上げを伸ばしているだとか、たこ焼きが売られるようになり好評だとか、韓国の若者が日本の雑誌やCDをたくさん購入しているという内容だった。
 その放送の最後に「日本と韓国にはいろいろと問題があるが、若者たちの間ではそれほどのわだかまりは無く、お互いの文化を認め合ってきているようだ」と締めくくっていた。
 大変興味深い内容だったのだが、これは本当なのだろうか?

 以前私に韓国語を教えてくださった日本人の先生(現在も韓国居住)が、久しぶりに日本に戻ってきたというので、仲間を誘って酒を飲んだ。
 そこで「韓国は本当に日本ブームか?」というところを聞いてみたのだが、上に上げた「日流」も「日本フィール」という言葉も、一度も聞いたことが無いという。
 これは日本のテレビ局が、有りもしない韓国での日本ブームを取り上げ、韓国に対する悪い印象を薄めるためのやらせだったのではないか?なんて勘ぐってしまう…

 さて、韓国語で「やらせ」をどう表現するか?
 辞書を調べてみると、漢字語で「無理やりそのようにさせる」ということから

gang-yo:強要

だとか、事前に作られた脚本に沿って演じさせるということから

sa-jeon-gag-bbon:事前脚本

なんて言葉が出てきた。
 また、以前読んだ新聞記事では、

sa-ju:使嗾(さじゅ)=嗾(けしか)ける

という表現を見つけた。

 昨年、韓国で発覚した猟奇的な大量殺人事件の犯人が警察署から出てきたさい、遺族の女性が犯人に近づき、かぶっていた帽子を捕ろうとたが、私服の警察官に蹴飛ばされてしまった。
 その女性はその後、日本のテレビ局の車に乗り込んだ…
 彼女が容疑者の帽子を捕ろうとしたのは、日本のテレビ局のやらせだったのでは?!なんてニュース。

 ちょっと話は変わるが、最近水割り大学でオネェサンと「韓流ブーム」についてお話したりする。
 当然若いオネェサマばかりなので、イケメン俳優の話題になったのだが、あの韓国イケメン俳優某氏に関して「あの人は格好いいけど、女遊びがひどくて陰ではこんなこと言われているのよ…」と、新しい表現を教えてくれた。

geol-le:雑巾

 つまり、汚いものの代表選手と言う意味だろう。
 あの日本のおばちゃまたちを釘付けにしているイケメン俳優が、裏であんなことや、こんな事をしてると言う噂を聞いたら幻滅するだろうなぁ。

 インターネットを調べると、色々な意見をみる事ができる。
 中には今でも韓流ブームなんて言うものは、一部の人たちのものであり、ブームなどはじめから存在しないと言う意見まである。
 だから、昨年末の流行語大賞に「韓流」と言う言葉はノミネートされなかったのかも知れない。(今年のはじめ「ハッスルハッスル」というコンテンツで触れた事ですが)

 さて、総括です。
 ブームが本当か嘘かなんて自分にはあまり興味が無い。
 韓流ブームだから韓国語の勉強をしている訳ではないし、韓国に日本ブームは無いかもしれないなんて、意地悪な事を書いてみたけど、絶対に日本の文化を好きになってくれる韓国人もいる。

 テレビで放送されたことが全て真実であるとか、ひとつまみのコメンテーターの意見が正しいなんて考えるのはやめにしましょう。
 イケメン韓流スターをカッコいいと思うのは好みの問題だからとやかく言う事ではないが、それはテレビに映る、奇麗な一面しかみていないからかも知れない。
 本当は雑巾なのかも知れないし。

 私に「雑巾」という表現を教えてくれた、オネェサマは付け加えるようにこういってくれた。

 最近韓流ブームだからなのか、お客さんの中には韓国語を勉強している人もいるのだけど、そういう人に悪い言葉を教えると、奇麗な言葉を知らないまま、悪い言葉をそのまま使ってしまうかもしれない。それが心配よ

 良い面だけみて、悪い面は見ないとか、悪い面だけ取り上げて、良い面は全く考えないとか、そういう偏った見方が一番良くないと思う。
 時にはお馬鹿に、時には斜に構えて、韓国語に関して色々な事を考えている私であります。

<05/08/10>

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