まぶしい
2002年2月24日 / 役に立たない韓国語
韓国の人気男性デュオ「UN(United N-generation)」の歌の中に「波(pa-do)」という曲がある。
簡単に翻訳すると・・・
まぶしく美しかった浜辺
僕の目の中にはもっと奇麗な君だった
白い砂の上に、君と僕が残した思い出達
波がひいても、僕には消すことが出来ないだろう
な~んてちょっぴり切ない歌詞なんだけど、とてもテンポがあるさわやかな曲なのだ。
聞きやすい声なので、ずいぶん単語も拾うことが出来たのだが、出だしの部分はつい最近まで何を言っているか全然わからなかった。
歌詞カードを見て全部翻訳してから聞くというのも勉強方の一つでは有るが、基本的に私は「意味がわからなくても良いからとにかく耳に残るまで聞く」という事にしている。
そうしているうちに、毎日山のように出てくる単語や表現が身に付いてくると、それまで意味がわからなかった「音」が、突然意味のある言葉として耳と心に飛び込んでくる!
これは語学を習っているうえで、物凄い感動でもあり、醍醐味であると思う。
さてさて、出だしの歌詞をハングル表記すると以下のようになる。
눈이 부시게 nun-i bu-si-ge:眩しく(まぶしく)
これを分解してみよう。
눈 nun:目→눈이nun-i:目が
부시다 bu-si-da:(目が)眩む
私がこの一連の単語を習ったときは以下のように表記されていた。
눈부시다nun-bu-si-da:目が眩む、眩しい
目が眩むということは「眩しい」と表現できるわけだ。
暗いところから急に明るいところに出ると「眩しい(まぶしい)」と感じる。
余談になるが、この「眩しい(まぶしい)」という漢字を分解すると「目」と「玄」になる。
暗いところで開いていた瞳孔(どうこう)が、急に明るいところに出ることで、急激に収縮し、目が黒く(玄く)なるなるから「眩しい」という漢字があてられているようだ。
先生はこの単語を教えて下さった後、突然こんなことをおっしゃった。
日本語でいう「まぶしい」の「ま」とは、目という意味だそうです。
なるほど。
そう言えば「まぶた」「まつげ」等、目に関する名詞に「ま」が付いていたが、今の今まで深く考えたことが無かった。
それでは「ぶしい」ってどういう意味なのか・・・
ちょっとまて!
「ぶしい」・・・・
부시다bu-si-da:(目が)眩む
これは偶然の一致なのか?
もしかして、韓国語と日本語の両方に残っている「ウラル・アルタイ語」の一つなのではないか?
私は興奮を禁じえなかった(-。-)y-゜゜゜
本当はここで、ウラルアルタイ語に関する事を書きたいところなのだが、私は本格的に言語学を学んだわけではなく、全て本からの受け売りだし説得力に欠ける。
これから書くことはInternetを探して出てきた記事などの引用と、私の勝手な想像の産物であるので、何か気がついたことがあれば、ずばずば指摘してもらいたい。
こうだったら、面白いなぁ~程度で書いているのでよろしく(^_^ゞ
そもそも「眩しい(まぶしい)」とは、どういう意味なのか?
Internetで検索したら、以外と簡単に資料が出てきた。
下記の記事は方言を研究しているHomePageの引用である。
暗いところかち、ぱっと明るいところに出てきたときの目をあけていられないような感じを、マツポイといいます。
暗い冬から解放されて春の中に飛びこんだ喜びのことばでした。
昔、かやぶきの屋内は暗かったし照明も不足していましたから、日ざしに反射する雪は、ことのほか光って見えたものでした。
マツポイは待ち望んだ春を迎える明るい方言です。
江戸中期の『物類称呼』という方言の辞書には、
「まばゆしといふ事を、中国にて、まぼそしと云。江戸にて、まぼしいと云。東奥にて、まじぽひと云。」とあります。
マツポイのマは「目」のことで、ツポイは「窄い」の変化だろうと思います。
光が強くて直視することができなくて目をつぼめるようにする状態のことです。
「窄い」は桃山時代の辞典にも出てくることばで、入口が狭まっている、開いたものを閉じる、つぼまっているなどの意味の語です。
ですから、ツボム・ツボメ・ツボマル・ツブル・ツムルなどと同系で、かなり古いことばと思われます。
共通語のマブシイは目細いが語源ですから、マツポイと同じ表現法で作られたことばなのです。
なるほど、わかったようなわからないような・・・
いずれにしても、方言で残っている「眩しい」にあたる言葉も、そもそもの「眩しい=目細い」にしても、強烈な光が目に入ってきて起こる現象や、感情を表現する言葉であるようです。
一方、韓国語の「bu-si-da」の方だが、私のわずかな語録の中に下のような単語がある。
부시다 bu-su-da:壊す、潰す
부스러뜨리다bu-seu-reo-ddeu-rl-da:ぶち壊す、押しつぶす
この動詞はいずれも破壊系である。
辞書を見ると他にもいくつかこれに関連する単語が出てきた。
日本語で破片や屑のことを「木っ端」と呼ぶが、韓国語では
부스러기 bu-su-reo-gi
と書くようだ。
おそらく破壊された後に残るゴミという意味であると想像がつく。
もしかすると「bu-si-da」とは目が潰れる、壊れるような気持ちになるという意味が、語源になっているのかも知れない・・・
だったら面白い・・・
たった一つの単語で、これだけの想像をしてしまったという、他人から見れば実に馬鹿馬鹿しいお話でした。
<02/02/24>