いつもこのコーナーの為に話題を提供して下さる韓国人の先生がいらっしゃる。
言葉だけ出来ても、その国の文化を知らなければ思わぬ落とし穴にはまってしまうということを、常にご自分の失敗談を通じて語ってくれる。(いやプライドをかなぐり捨てて、笑わせてくれているのかも知れない(^_^ゞ)
先生が日本に来て間も無く、体調を崩して病院に行った時のこと。
医者が「そこに有るベットに横になって下さい」と言ったそうだ。
簡単な会話なら出来るその先生でも、日本語で「横になる」という表現を聞いたことが無く、しかたなく体側をベットに着けていたそうだ。
これには医者も驚いていたそうだ。

母国語を使っている人間は、何の疑問を持たず母国語を使っていることに気付かない場合が有る。
つまり「ベットに横になる」を、よくかみ砕いて考えると「ベットの上に仰向けになって寝て下さい」と言い直す事ができる。
ここに誤訳の盲点が有る。
さて、今回のタイトルは電車に乗るとき聞こえてくるアナウンスを考えてみようというのが趣旨である。
「間も無く、上り電車が参ります。危ないですから白線の内側に下がってお待ち下さい」を韓国語に訳すとどうなるか?
まず「電車が参ります」が最初の問題。
韓国語は「相手を持ち上げる」尊敬語は非常に発達しており、「私が」の「が」や「誰々に」の「に」などにさえ「尊敬語」が存在する。
目上の人にこの尊敬をを使わないと、特に軍隊などでは「テッコンドー」有段者の蹴りが容赦なく飛んでくるという。
だが、日本語のように「自分を低めて相手を立てる」という謙譲語は数えるほどしか無いという。
だから「電車が参りますので」と言う表現をすることができず「電車がくるので」となる。
次に「白線の内側に」
日本人の意識では白線の内側とは、白線を基準にして線路とは反対側のことを言っているはずなのだが、韓国人は「線路側」の事を言っている様に聞こえるそうだ。
「10わったかったの大騒ぎ」でも書いたが「行ったり来たり」と言うのは、韓国語にすると語順が逆になり「来たり行ったり」になる。
「あっちこっち」「あれこれ」など、日本語では「遠くのもの、近くのもの」の順で言うが、韓国語は「近くのもの・遠くのもの」と意識の逆転現象が起こっているということ。
最後は「下がってお待ち下さい」だ。
「下がって」とは、後ろに下がるということで、上方下方の「下方」に行くことではない。
だが「鉄棒に(ぶら)下がる」という日本語も有るわけだ。
私の先生は、日本の電車のアナウンスを聞いているうちに、「白線の外側にぶら下がって(線路に降りて)、待っていて下さい」と言う、自殺を促進するような事を言われている様な気がしたという。
だから韓国人に理解してもらうためには「すぐ、●×行き電車が来ます。白線の中に入らず(もしくは白線の外側で)、御待ち下さる事を願います」と言う言い回しになる。
大統領に話す言葉も、犬に話しかける言葉も全く一緒という「英語」がちょっぴりうらやましく思えたりする。
<01/07/29>
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