ある日、新聞の翻訳をやっていた。
そこに分かりやすいけど、全く意味の分からない言葉が書いてあった。
gae-gu-ri so-nyeo:カエル少年
カエル少年が何だって?
骨になって見つかった?
当時着ていた服が決め手(?_?;
なんだそりゃ?
「ド根性ガエルのピョンキチ」が、韓国で見つかったというのか?
こういう話題をしても、今の若い人はついてこれないかも知れないけど、幸いなことに、最近胃腸薬のコマーシャルに「ド根性ガエル」が出てきているので、何となく通じるかも知れない。
さて、問題の「カエル少年」だが、色々な情報を集めていると、1991年3月26日、小学生5人が「カエルを捕まえに行く」と言ったまま、行方不明になった事件が有ったそうだ。
その少年たちと見られる遺骨が、11年経った2002年9月26日に発見されたという事だった。
その事件自体を、「カエル少年事件」と称しているらしく、韓国で「カエル少年」と言えば「謎の行方不明事件」という意味として捉えられるようだが、そういう背景を知らないと翻訳が「意味不明」になってしまう。
さて、話は突然「猟奇的な彼女」に飛ぶ。
この映画の前半に全く意味不明のシーンが出てくるのだ。
主人公のキョヌが、酔いつぶれてしまった彼女を介抱する為、モーテルに入った。
キョヌがモーテルのおやじにお金を払っていると、突然壁に掛けられた新聞記事がアップになる。
新聞には五つ子ちゃんの写真が載っていて、こんな見出しが付けられていた。
日本語版の字幕では「五つ子元気に育て!!!」となっていたのだが・・・
上のHangul頭3文字は「禿鷲(ハゲワシ)」を表す単語だ。
その後ろは日本でも通用している漢字だから「禿鷲五兄弟」と書いて有るのが分かると思う。
文全体を翻訳すると「禿鷲五兄弟に育てたい!!!」と書いて有るのだが・・・
訳してみても、さっぱり意味が通じないではないか(ToT)
実は「禿鷲五兄弟」とは、日本のアニメの題名なのだ。
さぁ、お分かりになりますかな?
クイズの答えはちょっと先に置いておいて、何でこんな新聞記事が出てきたのだろうと、ずっと悩んでいた。
記事の内容はおもしろいけど、だから何ナノ?
意味ないじゃん!?である。
ところが、日本語版「猟奇的な彼女DVD」に収録されていた「制作秘話」を見て、一挙にこのシーンの意味が分かったのだ。
この後はネタバレになるので、まだ「猟奇的な彼女」を見ていない人は、ぜひ映画を見た後読んでもらいたい。
さて、制作秘話に監督の談話が書いて有った。
「この映画のテーマに偶然というものがある」と。
つまり、この一見意味のない「禿鷲五兄弟」という新聞記事も、監督が意図していた複線のための小道具だったのだ。
この手法は「バックツゥーザフューチャー」のパクりかも知れないが、種明かしを知った時は「やられた!」と素直に降参してしまった(^^;
少しだけ種明かしをしよう。(偉そうに書くけど、DVDを買った人間の特権だからいいかな?)
この映画には「五つ子」が出てきている。(もちろん役者は一人だけだけど)
それはどこに出てきているかは、ご自分の目で確かめて楽しんでもらいたい(^^;
私もまだこのクイズを完全に解いていないから、またもう何度か「猟奇的な彼女」を見なければならいと思うけど、やっぱり「猟奇的な彼女」はお勧めなのだ。
おっと、忘れるところだった。
上の「禿鷲五兄弟」とは「科学忍者隊ガッチャマン」のこと!
「ガッチャマンのように、元気な子供に育って欲しい」という意味だったのだろう。
翻訳をするためには、その国の文化やサブカルチャーを知っておかないと意味が通じないというお話でした。
<03/07/27>
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