花火

 7月31日。今年も夏の風物詩である隅田川花火大会が行われていたようだ。
 正直言って、私は花火見物というものがあまり好きではない。
 子供の頃は、間近で見る花火の迫力と、美しさに感動したような気がするが、隅田川花火大会程の規模になると、人混みの中をもみくちゃになりながら歩き回らないといけないし、わざわざ何時間も前から場所とりに出かけるなんてかったるいことをしてまで、花火を見たいとは思わない。
 それに、花火職人さんには申し訳ないと思うが、いくら迫力のあるきれいな花火であっても、15分も見れば直ぐに飽きてしまうのだ。

 そりゃ、自分が花火大会を目の前で見ることが出来るマンションに住んでいて、浴衣を着た可愛い女の子が「部屋で花火大会見せてくれないかしら」なんて訪ねてきたら、花火見物もまんざら悪いもんではないと感じるかも知れないなぁ・・・
 いかん!最近妄想ばかり浮かんでくる(ToT)

 気を取り直しまして・・・(^^;
 韓国語にも「花火見物」という単語があるのだが、直訳するとかなりイメージがずれる。
 まず、「打ち上げ花火」の「花火」を、漢字語で「火花」という。

bul-ggod:火花

 「見物」に当たる単語について、以前「フィルムが切れる」で説明したことがあるが、花火見物に関しては専用の単語が付く。
 それは「遊ぶ」という動詞に「i」を付けて名詞形にしたもの。

nol-da:遊ぶ

nol-i:遊び

 つまり、韓国語の「花火見物」を無理矢理直訳するとしたら

bul-ggon-nol-i:火花遊び

となってしまうのだ・・・(-"-)

 ちょっと話題が変わるが、韓国の人気歌手グループ「コヨーテ」の6枚目のアルバムに「花火」という曲が入っているのだが、韓国でこの曲を巡って大騒動になっているというニュースを見た。

 なんと、この「花火」という曲のメロディーが「四季の歌」そっくりなのだ。
 「花火」を作曲した作曲家曰く「昔聞いたことのあるメロディーを元に曲を書いた」というが、誰が聴いても盗作の疑いが有るという理由で、コヨーテも今後「花火」は歌わないと言っているとか。

 話題作りと言う訳ではないが、私も早速このCDを購入して聞いてみた。
 これはもう、そっくりというより、四季の歌そのものだ。
 だが、ポップ調になった「四季の歌」は、これはこれで乗りが良いし、埋もれさせてしまうのももったいないと思う。
 盗作だとか言われる前に、「四季の歌」のリメイクとしてしまえば、良かったのではないかと思うのだが。
 100%「四季の歌」というわけでもないしね。

 先日、韓国語学校で、自分の好きな韓国の歌手の話しや、カラオケでどんな曲を歌うかなどについてフリートークをしていると、先生がこんな表現を教えてくれた。
先生曰く「この表現は辞書を引いても出てきません」とのこと。

  dae-bag-eul teo-ddeu-ri-da:●△を爆発させる?

 最初のハングル二文字の意味がわからない。
 先生もこの表現を日本語で説明しようにも、具体的な単語が思いつかないと言うではないか!
 最初のハングルは「大きい」という漢字語であることは間違いないらしい・・・
 二番目のハングル「bag」が問題なのだが、先生はジェスチャーで大きな円が割れるようなことを説明し始めた。
 あれ?もしかして「bag」って

  ba-ga-ji-reul sseu-da:ヒョウタンをかぶる

のヒョウタンですか?と、先生に質問したところ、ビンゴだった!

 ではスペルが違うと思われるかも知れないが、もともとヒョウタンの

は、

bag:ヒョウタン

と、

a-ji:小さな、子供の

という、二つの言葉の合成語なのだ。
 つまり、「bag」のキオクパッチムが、「a」にリエゾンされ、有声音化するのを発音通りに書いたものだ。

 どうやら「大きなヒョウタンを爆発させる」とは「大ヒットを飛ばす」という意味の言葉らしい。
 どのようにして、この表現が生まれたかまでは正確にはわからないが、私の想像では、

 歌を大ヒットさせ、賞を受賞したとき大きなくす玉が割れるというイメージ
 花火が打ち上げられ爆発するように、歌が大ヒット

というイメージではないだろうか?

 情報をお待ちしておりますm(_ _)m

<04/08/02>

 このコンテンツをアップロードした直後、韓国水原在住の「カジャミ+カオリ」さんから情報を頂いた。
 今回の「大きなヒョウタンを爆発させる(直訳)」とは、韓国の古い民話が元になっていると言うことである。

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 テーバク=”大きなふくべ” は「フンブ伝」という民話が元になっていると思います。(舌きり雀のような話・・・チョット違うかな?)
 最近では悪役のお兄さんノルブのほうが金持ちのため人気があるようで、ポッサムのチェーン店のキャラクターになっているようですが。
(悪そうな顔をどこに行っても見かけます)

 これが元で、 を、思わぬ福が転がり込んでくるような時の慣用句として使っています。
 洋服の安売りなどの垂れ幕にもテーバクとか良く書いてあります。
 一言で言うと「大当たり」っていうのがやはり一番近いと思います。
 一年位前に韓国語の先生に聞いたことがあるので確かです。

 多分このフンブとノルブの話は日本人にとっての桃太郎などと同様韓国人は誰でも知っているのでこのような使い方が生まれたのではないでしょうか。

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 なるほど!そう言うことだったのですね。
 勉強になりました。

 ちなみに「フンブとノルブ」というお話を検索したところ、下記のコンテンツを発見した。

福島韓国語・韓国文化ネットワーク
http://kan-net.web.infoseek.co.jp/html/minwa/minwa200407.htm

 一読していただければ分かるように、確かに舌切り雀に近い話しである。
 日本の民話と少し違う点は、あれだけ意地悪をした兄を弟が許して、一緒に暮らすと言う点だろう。

 同様に、「蟻とキリギリス」というお話も、日本では(少なくとも私が覚えている話では)寒い冬を迎え、遊び人のキリギリスが、雪の降る中さ迷い歩いている内に、それまで馬鹿にしていた蟻達が、暖かい部屋で楽しく暮らしているのを見て、それまでの行いが愚かだったと気付く訳だが、韓国の「蟻とキリギリス」では、蟻がキリギリスを家に招き入れ、一緒に楽しく過ごしました、と言うところで終わる。

 そこには、どんなにしいたげられても、今の幸せを他人に分けてあげることに喜びを感じようという国民性が見えるような気がする。
 逆に日本の民話「こぶとり爺さん」や「舌切り雀」「蟻とキリギリス」を読んだ日本人の心の中には、どんなに苦しくても正直に生きていたら良いことが有るのだから、あの悪役のような事はしないようにしましょうという暗示が有るのだと感じるのだ。

 慣用句に物語有り。
 そして民話の中に国民性がある。
 今回は良い勉強になりました。

<04/08/04>

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