■ あそこはもう北朝鮮
会議室で写真を撮れなかった我々は、すぐさまバスに乗り込んだ。
分刻みのスケジュールで、これからどこに行くのかさえ分からない。
ガイドさんに「これからどこに行くのか?」と聞きたい気分であったが、わずか数分後には「見晴らし台」の様なところで、バスを降りるように言われる。
いちいち質問するのは、野暮というものかも知れない。
※ ガイドブックによると、ここは第5監視哨舎というところらしい。北朝鮮の風景を見るには一番良いところとされているようだ。
目の前に見える風景は、北朝鮮と韓国の境界線だ。
目と鼻の先に北朝鮮が見えるのに、外国人はもちろん同じ民族が自由に出入りできないという葛藤がそこに見え隠れしているように感じた。

上の写真の中央に見えるのは、てっぺんに北朝鮮の国旗が掲げられていて「ここは朝鮮民主主義人民共和国」であると主張しているようだ。
韓国側にも同じような鉄塔があり、韓国の国旗が掲げられている。
それぞれの塔は、現在に至るまで「向こうの国に負けるな!」とばかりに、何度も高く作り替えられてきているそうで、現在北朝鮮の塔の高さは160m、旗の横幅は30mもあるそうだ。
■ 旧板門店
視線を少し右にずらすと、森の中に古びた小屋のようなものが見える。
実はこれ「旧板門店」だそうだ。
現在の板門店が作られる前、この小さな小屋の中で休戦協定などが決められたらしいが、38度線を正式に図り直したところ、この「旧板門店」は38度線より北側に有ったため、現在屋根くらいしか見れなくなってしまったそうだ。
天気が良ければもっと奇麗に写真が撮れただろうに、ちょっと残念。

中央の建物が「旧板門店」
■ 目に見えない38度線
もう少し右に視線を向けると、木々の中に寂れた黄色い看板が見える。
これは何を隠そう、本当に本当の38度線の印なのだ。
望遠レンズの性能も悪いし、今から50年近く前に作られたものであるから、文字の判別はほとんど出来ない。
ガイドブックを見ると、ここには「Military Demarcation Line(軍事分界線)」と書いてあったらしい。

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38度線というと、鉄条網や柵の様なもので区切られ、行き来できないものかと想像していたのだが、実際にはこのように、南北の区切りなど超えようと思えばいつでも超えられる、目に見えない線が引かれているだけなのだ。
だが、現実にはこの50年前に作られた看板は、現在もなお南北分断の証として寂しく立っている。
この看板が物理的に朽ち果てるころには、本当の南北統一がなされているのだろうか・・・
<02/10/21>