モーニングコーヒー事件

■ オディロ カルカ・・・(どこに行こうか)

 韓国旅行最後の日の朝、私は多少二日酔いであった。
 昨日、先生と飲んだ後も、刺身屋でビールをあおったのだから仕方がない。
 さて、今日一日、いや、実質半日をどのように過ごそうか・・・

 普通の旅行者なら、事前にどこか行きたいところをあれこれ決めておくものだろうが、私はたまの休みにも秋葉原とか本屋だとか、必要なものを買いに行くだけで、新しい出会いを求めて繁華街に赴くような人間では無いのだ。
 でも初めての海外旅行で、ホテルでゴロゴロしているというのちょいと寂しすぎないか?
 そんな時、兄貴(初日に一緒に酒を飲んだ韓国の男性)の言葉を思い出した。


DVDソフトを探しているんなら、gang-byeonに行くといいよ!

 よし!決まり!
 gang-byeonにあてもなく「ぶらり途中下車の旅」としゃれ込みますか。

■ サンチェック(散歩)

 時計を見るとまだ午前8時を少し過ぎたくらい。
 普段なら朝食を取って、会社に行くくらいの時間だ。
 何か韓国っぽい食べ物でも食べたいし、床屋が開いていたら髪を切りたいと思っていたので、ホテルの周りを散策することにした。

 その日もあまり天気は良くなく、結構蒸し暑かった。
 ホテルの周りは小さな商店街の様なところで、色々な店が建ち並んでいた。
 朝から店の改装工事をしている人もいたが、まだまだ街は目を覚ましていないかのように、店はどこもやっていない。
 ん〜ん。ちょっと時間が早すぎたかな・・・
 あてもなくぶらぶらと、小一時間ほど歩き回っていたが、ソウルの都心から少しはずれたこの町の雰囲気は、不思議と「外国」に来たというインパクトがない。
 通りすがりの人間も、顔つきは日本人とほとんど変わらないし、韓国だからと言ってチマチョゴリ(韓国服)を着ているわけでもないし。
 ただ、町並みに見える字が日本語でなくハングル表記されているだけで、日本の地方都市を歩いている様な雰囲気で、懐かしさすら感じられた。

 お腹が空いてきたが、食堂は何時に開くのかどこを見ても書いていない。
 コンビニで何か買おうかとも思ったのだが、この時間に店に行っても大した食料を置いていないのは昨日経験済。
 床屋も見つけたが、数日臨時休業と書いてあった。
 仕方ないけど、ホテルに戻ってモーニングでも食べますか。

■ 何という豆ですか?

 ホテルのロビー横に有る喫茶店のようなところで、モーニングセット(結局、二日目に食べたのとと同じ物)を食べていると、先輩家族が降りてきた。
 一緒に朝食をとろう誘ったのだが、ここの食事は大して美味くもなく、折角韓国に来てそんな食事ではいやだからと、出先で食べるつもりで居るとのこと。
 そりゃそうだ。

 美味くないといえば、このモーニングセットに付いてくるコーヒーだ。
 先輩はしきりに不味い不味いと言っていたが、私は正直、それほど不味いとは感じなかった。
 どちらかというと面白い味というべきかな・・・
 すごくコクが有って、甘味も有るが、すごく苦い。
 これに牛乳を入れれば「スタバ」の「キャラメル何とか」になるのかも?という味。

 レジでは私以外客がいないので、お姉さんが二人で世間話をしていた。
 丁度いい、このコーヒーがどんな豆を使っているか聞いてみよう。

私「あの、このコーヒーどんな種類のコーヒー何ですか?」
お姉さん「は?あぁ、元豆珈琲(レギュラー)ですけど。」

 ちょっと質問の仕方が間違っていたのかも知れない。
 韓国で珈琲と言えば、喫茶店に行っても粉珈琲(インスタント)が当たり前だと言う話を聞いたことが有る。
 その反対にインスタントではなく、炒ったコーヒー豆を粉状にしてお湯をかけるという「レギュラーコーヒー」を漢字語で元豆珈琲と言うのだ。

私「いやいや、そうじゃなくてですね、ブラジルとかキリマンジャロとか珈琲豆の種類が有るじゃないですか?!美味しいから買って帰りたいんですよ。」
お姉さん「は???」

 私の下手な韓国語が通じ無かったのかとドキドキしたが、そもそも元豆珈琲(レギュラー)を飲む習慣があまりないので、お姉さんも珈琲豆に対する知識が乏しかったのかもしれない。
 お姉さんはもう一人のお姉さんに聞いていたようだが、やはりよく分からないので「ちょっと聞いてきます」と言って、厨房の方に歩いていった。

 しばらくしてお姉さんが戻ってきて、笑顔でこう言った。

「メック・C」・・・(-"-)

 今まで聞いたことの無いコーヒー豆の種類か?と考え込んでいると、私が聞き取れなかったのだろうと思ったのか、もう一度コーヒーの名前を言ってくれた。

「メックs・Cm」・・・

 あぁ、メックの後には聞こえないくらいのSの音がついて、最後の文字には子音のMが付くのね。
 そうか、そうか・・・と納得した途端、そのコーヒーの名前がわかった。

 そうか・・・Maxim(マキシム)か・・・(-。-)y-゚゚゚
 どうやら袋売りの既製品だったようだ。

 チャル モゴッスンミダ(ごちそうさま)!
 ちょっと肩透かしを食った気分で、私はホテルを後にした。

<02/10/24> 

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