言葉を置く

2002年12月7日 / 役に立たない韓国語

どういう訳か、この慣用句を知ったのはつい最近のことだ。
実際このフレーズを口にするには、相当な学習量が必要だから、初期の学習者にとっては、言いたくても言えないのかも知れない。
やっと私もそれなりの能力が付いて来たので目に入るようになったのかな?

 mal-eul nod-ta:言葉を置く

韓国語で「言葉」を表す単語は「mal」と言う。

mal:言葉

その「mal」を置くとはどう言うことだろと、外国人がいくら考えても、答えは出ないだろう。
この表現も実に韓国語らしい、文化の背景が有るようだ。

この慣用句の意味は「今から他人行儀な言葉を使わず、パンマル(タメ口)で話しましょう」と言う意味だ。
想像するに、丁寧なよそ行きの言葉=敬語なんかは置いておいて、裸で話そうと言うことでは無いだろうか。

タメ口と言えば韓国でのパンマル(タメ口)と日本のタメ口とは少しニュアンスが違うようだ。

ban-mal:ため口

韓国でパンマルを使うのは、友人や恋人など水平の人間関係の場合と、上司と部下、年上と年下などの、目上の人間が目下の者に使うパンマルが有ると言う。
どんなに親しい関係で有っても、韓国では目下の者が目上の者にパンマルを使うことはありえない。
もちろん、喧嘩をする時は別。
喧嘩の時まで敬語を使うと「出ろ!!」の時の様な事になるかも。

これは日本でも変わらないだろうと思っていたのだが、どうも最近の日本の若い世代は、目上の相手でも親しくなる為に敬語を使わない傾向があるようだ。
NHKハングル講座にもこのような話題が有って、敬語を使うと相手に壁を作っているようで堅苦しいのではないか?と言う意見が有った。
良識有る社会生活の中で、パンマル(ため口)を使わなくても、十二分に楽しい会話をすることが出来なければ、一人前の社会人では無いと思っているのだが・・・

まぁ、中には目上目下という感覚がまるでなく、自分より偉い奴はいないとまで思っている人間も見受けられる。
こういう社会の一員になりきれていない人間は、自分の主張がいかに的外れで有っても、俺様の言う事が聞けないのかと言わんばかりに、相手を見下して「パンマル」を使い始める。
日本語も韓国語も、犬に話すのと大統領に話すのも一緒という英語と違って、尊敬語、謙譲語など、自分と相手の関係を見極めて使い分ける、人間社会を軸にした言語だ。

「言葉を置く」為には、まず美しい服のような言葉を身に付けるのが先決だ。
それが出来た後、「言葉を置いても」遅くはないと思うし、幅広い表現を身に付ける近道だと思う。

<02/12/07>

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