あぽ!

 早いもので、今を去ること約3年前、平成11年1月31日午後4時4分、ジャイアント馬場さんが「御還りになった」。
 プロレスにはほとんど興味の無かった私でも、プロレスラーといえばジャイアント馬場、アントニオ猪木、力道山、ザ・デストロイヤー位の名前は出てくる。
 プロレスが八百長だとか言う人は多いと思うが、ショーレスラーとしてジャイアント馬場さんの功績は、戦後日本の1ページをになっているに違いない。

 約10年ほどまえ、千葉県で働いていた時、先輩に連れられて全日本プロレスを見に行ったことが有る。
 2メートルを超えるというその身長も、遠目では普通の人にしか見えないが、やはり近くに普通の人がいると、やはり巨人であることを実感した。
 もっと近づいて握手でも求めれば良かったかなぁなんて思うのだが、それも後の祭りだ。

 ジャイアント馬場さんの物まねをする人は、かならずこのセリフを言う。

あぽ!

 逆に言うと、あぽ!とさえ言えばジャイアント馬場さんの物まねになってしまうとも言える。
 なんで突然ジャイアント馬場さんのことを書いたかというと、それなりの訳が有る。
 「あぽ!」を無理やり韓国語表記すると、下のように書くことが出来るのだ。

아퍼! a-peo!

 これは「痛い」という形容詞の口語体、それもソウル方言である。
 そうか、ジャイアント馬場さんはいつも「痛て!」と言っていたのか・・・(^_^ゞ
 もちろんジャイアント馬場さんが韓国語を喋っていたという事ではなく、私の単なるこじつけである(。☆)\(-_-# アポ!

 ちなみに「痛い」という形容詞の基本形は下記の通り。

아프다 a-peu-da:痛い

 二つ目のハングルの母音の形が変わっているのがわかると思うが、これを「変格活用」と呼ぶ。
 文法的に言うと、「a-peu-da」という基本形を「痛いです」という口語体体(文法説明的には略体丁寧形)にすると、文法的には「アパヨ」になるのだが、ソウルの方言などではしばしば、陽性母音と陰性母音をひっくり返して発音することもあるようだ。

아파요 a-pa-yo:痛いです

아파! a-pa!:痛い!
※ 文法的にはこちらの方が正しい

 韓国で人が死ぬという表現の尊敬表現で「御還りになった」という。

돌아가셨다 tora-ga-syeod-dda:御還りになった

 現世から魂の故郷である、あの世に戻ったのだというニュアンスだと思う。
 ところが日常生きている人が、自宅に帰ったという時にも、全く同じ表現になってしまうので、注意が必要だ。

 韓国語を習い始めて間もないとき、先生から冗談交じりに指摘されたことが有る。
 それでは、生きている目上の人が自宅に帰ったときに、どういうかということだが、一番簡単なのは「自宅に帰りました」と、帰る場所をはっきりさせるだけだ。

 医学の進歩で平均寿命は年々伸びてはいるが、やはり60歳を目安にお亡くなりになる方は多いように思える。
 韓国でも60歳のお祝いをするのだが、還暦とは元に戻るという意味があるそうだ。
 虎は死んで革を残し、人は死んで名を残す。
 「あぽ!」というセリフだけでジャイアント馬場さんの姿を思い出すくらい、彼は私達の心に生きていると思うのであった。

<02/01/13>